研究課題/領域番号 |
16K04824
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
平澤 紀子 岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (20320393)
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研究分担者 |
坂本 裕 岐阜大学, 教育学研究科, 准教授 (20310039)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発達障害 / 行動問題 / 機能的アセスメント / 小学校教師 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究においては、(1)小学校1年担任が就学前の支援計画を効果的に活用する方法と、(2)特別支援教育コーディネーターがそれを効果的にマネジメントする方法を明らかにすることを目的とした。 (1)については、行動問題を示す発達障害児を担当する小学校1年担任と特別支援教育コーディネーターのペア16組を対象として、就学前に作成した行動支援計画を用いた機能的アセスメント研修の効果を検討した。2グループ(各8組)に、時期をずらして研修を導入し、各教師組の情報収集と計画立案の変化を反復的に分析した。また、研修で作成した行動支援計画を就学前のものと比較した。その結果、いずれのグループも、研修の導入により行動の前後状況に関する情報収集とそれに基づく計画立案が向上し、導入しない場合は向上しなかった。また、全ての事例で就学前の支援は新たな支援に更新され、行動問題は減少した。ただし、行動問題が途中継続した事例から、実行の分析に関する困難が指摘された。以上から、基準となる情報を用いて教師組で行う研修により、現状の行動問題を分析し、新たな支援を計画できるようになるが、実行の分析に関する内容も加える必要がある。 (2)については、事例分析・事例研究を基に、特別支援教育コーディネーターに必要なマネジメント行動を検討した。対象児の適応状況と特別支援教育コーディネーターのマネジメント行動との関連を分析した。その結果、対象児の適応状況がよいのは、引き継ぎや定期的な話し合い等の基本的な連携とともに、支援経過を把握し、支援を検討している場合であった。以上から、効果的な支援のために、基本的な連携に加えて、支援経過の把握と検討に関するマネジメントが重要であることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究目的は、(1)小学校1年担任が就学前の支援計画を活用する方法と、(2)特別支援教育コーディネーターがそれを効果的にマネジメントするための方法を明らかにすることであった。 昨年度の検討から、(1)については、1年担任と特別支援教育コーディネーターのペアを対象に、就学前の支援計画を用いた機能的アセスメントの3時間の研修により、対象者は小学校で新たに生じる行動問題を分析し、必要な支援を計画できるようになることが示された。 また、(2)については、事例分析と事例研究から、基本的な連携だけでなく、支援経過の把握と検討に関するマネジメントが重要であることが明らかにされた。 以上の研究結果から、研究計画に沿っておおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究においては、2年間の研究結果を踏まえて、就学前から継続した行動問題予防プログラムを開発することを目的とする。具体的には、(1)就学前の行動支援計画を用いた機能的アセスメント研修とそれをマネジメントする研修を統合して実施し、その効果を検討する。 (1)対象者:研究協力の同意を得ている小学校1年担任と特別支援教育コーディネーターの30組である。対象児は、幼児の特別支援教室に通級し、就学前の行動支援計画を作成した発達障害児で、小学校入学後に行動問題を示した児である。 (2)就学前の支援計画の効果的な活用とマネジメント:小学校1年担任と特別支援教育コーディネーターのペアを対象として、就学前の行動支援計画を用いた機能的アセスメントの研修の効果を検討する。その際に、昨年度の改善点を研修に反映し、フォローアップする。また、これらの事例において、特別支援教育コーディネーターを対象として、就学前の行動支援計画の活用マネジメントに関する研修の効果を検討する。 (3)就学前から継続した行動問題予防プログラムの開発 研究参加者、保護者、管理職等の評価から妥当性と課題を多面的に検討し、就学前から継続した小学校段階の行動問題予防プログラムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究会議を学会時に重ねたため、旅費が予定より残った。
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