本研究は、小学校における発達障害児の行動問題を予防するための就学前から継続した支援について、(1)小学校担任が就学前の支援計画を活用する方法と、(2)小学校特別支援教育担当者がその活用をマネジメントする方法を検討した。 最終年度は、(2)の研究課題として、特別支援教育コーディネーターへの行動支援計画の作成・活用に関するガイダンスの効果を検討した。対象児の就学先小学校の特別支援教育コーディネーター10名を対象として、①就学前情報の入手、②入学時対応、③支援経過の検討に関するガイダンスを行い、入学当初と入学後のマネジメントの実行と担任の支援の見通し及び対象児の行動問題との関連を分析した。その結果、入学当初においては、「入学時対応」に関する担任との相談や実行の把握を行っている場合、担任の支援の見通しが高かった。入学後においては、「記録の検討」と「支援の改善」を行っている場合、担任の支援の見通しが高く、対象児の行動問題も改善した。以上から、行動支援計画のマネジメントに関して、入学当初においては就学前情報に関する担任との相談や実行の把握、入学後においては支援経過の検討が重要であり、とくに記録に基づく支援の改善に関する専門的支援が必要であることが示唆された。 3年間の研究により、就学前から継続した小学校段階の行動問題予防プログラムとして、(1)小学校担任が就学前の支援計画を活用する方法としては、就学前の支援計画を用いた特別支援教育コーディネーターと1年担任とがペアで行う機能的アセスメント研修により、対象児の担任が行動支援計画を作成できるようになることが明らかにされた。(2)特別支援教育コーディネーターに就学前情報の入手と活用、支援経過の検討に関するマネジメントを教授することが効果的であることが明らかにされた。
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