研究課題/領域番号 |
16K04827
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
菊池 紀彦 三重大学, 教育学部, 教授 (20442676)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 超重症児 / 教育実践 / キャリア教育 / バイタルサイン / フィードバック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、表出手段に著しく制限のある超重症児について、1)①超重症児を担当していた教師に対し、学校教育修了後の彼らの生活実態の把握状況についての調査を行うこと、②学校教育修了後に超重症児が生活している医療機関等に対し、教育機関との連携状況について調査を行うこと、③これらの調査から、特別支援学校等に在籍する超重症児や保護者への支援、キャリア教育の在り方を提言することを第1の目的とした。また、2)学校教育修了後の超重症児を対象に、教育実践中におけるさまざまなバイタルサインが行動表出とどのように関連しているかを明らかにするとともに、教育支援方略を検討することを第2の目的とした。 目的の1)については、研究の進捗がやや遅れており、2018年度中に調査用紙を完成させた。2019年度に調査を実施する予定である。目的の2)については、取り組みの内容を纏めた論文の要旨を以下に記した。 働きかけに対する応答が微弱で自発的な運動が困難な超重症児を対象に、対象者の拍動をフィードバックした活動について、我々がどのようにして対象者への理解を深めようとし、どのようなかかわりの変遷があったのかを整理した。その結果、かかわりの振り返りにおける動画記録の参照をつぶさに行うことにより、実際のかかわりの最中には気がつかないようなきわめてゆっくりとした体幹を伸展する動きの発現が認められたこと、心拍の一過性反応に着目するだけでなく、活動休止時間も含めた心拍変動にも着目することで、活動全体におけるHRの上昇や維持を見いだすことができた。このことから、対象者の拍動を本人からの発信と捉え、拍動の速さに対応したフィードバックを行うことは、今後の教育支援の構築に向けて一定に意義があることが見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は2016年10月に追加採択となったものである。追加採択以降、研究目的の2)学校教育修了後の超重症児を対象に、教育実践中におけるバイタルサインが行動表出とどのように関連しているかを明らかにした上で、教育支援方略を検討すること、については、当初の計画どおり研究を遂行することができている。しかしながら、研究目的1)について、調査用紙を見直したこともあり、研究の進捗がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
超重症児を担当していた教師に対する調査については、2018年度に実施する予定であった。しかしながら、内容を精査し再度調査用紙を修正したため、2018年度中に実施することができなかった。今年度、本研究を1年延長することが認められたため、調査を実施する。 超重症児に対する教育実践については、これまでの成果を論文に取り纏めた。対象者については継続して関わっているため、今後も引きつづきデータの蓄積を行う。なお、本研究は2019年度で終了となるが、今年度から新たに対象者を1名追加し、研究室の学生とともにかかわりを行っている。これについては、本研究の中核をなすものではないが、他事例を加えることにより、今後さらに研究を発展させていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は2016年10月に追加採択された。研究目的の2)については、進捗状況、予算執行状況について概ね順調に推移している。研究目的1)については、2018年度中に実施する予定であった調査項目を再検討したことにより、調査の実施ができなかった。そのため、研究期間を1年延長し、2019年度中に調査を実施する予定である。
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