知的障害のある児童を中心に、特別支援学校や特別支援学級の児童の協力を得て、感情表現等の練習をすることができる「きもち日記」を教材として作ることができた。この教材によって、自分の気持ちを表現することができるようになり、落ち着いた子どももいる。 携帯型情報端末の視覚に訴えることのできる機能は、感情など視覚的に見えないものを見える化し、理解を促すことができるため、今後ASDのある児童生徒などの指導に活用できると考えられる。また、入力方法にしても、様々な困難に対応できるようにしているため、書字に困難がある児童についても、日記等を書くことができるようになっている。 この教材は、香川県教育委員会、小豆島町教育委員会、富士通(株)と産学官で共同で作り出すことができたものである。本研究では、産学官の連携を図ることができたことも大きな成果であると考えている。 また、日本科学未来館においては、知的障害のある子どもたちが参加しやすいように、iPadを使ったナビゲーションもできるようになっている。 これらの実践は、ICTが知的障害のある子どもたちへの生活の質を高めることにつながっていると考えている。 研究を実施する中で、今後の課題についても明らかとなった。それは、それらを使っている診断を受けている子どもに対する理解である。その子自身の表現力は伸びても、周囲がそれを認めなければ、それらを使って表現することにはつながらないからである。今後周囲の理解を進めるための工夫がいると考えている。
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