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2018 年度 実績報告書

学齢期における聴覚障害児の日本語読み能力の評価と学習到達度に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K04833
研究機関愛媛大学

研究代表者

加藤 哲則  愛媛大学, 教育学部, 准教授 (90510199)

研究分担者 川崎 聡大  東北大学, 教育学研究科, 准教授 (00444654)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード聴覚障害児童 / 日本語読み能力 / 学習到達度 / 包括的領域別読み能力検査 / 標準学力検査NRT
研究実績の概要

聴覚障害児の日本語の読み能力と学習到達度について,標準化された包括的領域別読み能力検査CARDと標準学力検査NRTの評価を,全国の特別支援学校(聴覚障害)小学部の通常学級在籍児童139名を対象に2年間にわたって行った.その結果,①聴覚障害児の日本語読み能力は,健聴小学生に比べて,ことばの意味・聞きとり・音しらべに弱さが認められた.一方,文の問題に著しい弱さは認められなかった.②NRT国語・算数の偏差値の平均は,健聴小学生と比較して著しく低い結果ではなかった.③CARDの各下位検査とNRT国語・算数の偏差値との間に中程度の相関が認められた.④CARDの評価は聴覚障害児の学習到達度の予測とが可能であると考えられた.⑤聴覚障害児の日本語読み能力は,算数の学習に十分に活用されていない可能性が示唆された.⑥聴覚障害児は文や文章理解の中核的な方略に単語の意味を用いており,文法的知識が文や文章理解に活用されていない可能性が示唆された.
また,第2の目的は,聴覚障害児童の日本語読解力モデルを構築し,典型児童モデルと比較すること(研究1),一年後の読解力や学力に対して言語ドメインや語彙指数が及ぼす影響を検討すること(研究2)にあった.対象は,研究1が139名,研究2が107名であった.その結果,読解・変数同士の相互の関係を伴う緩やかな線形モデルが示された.語音認知を基盤とする課題が読解力へ直接影響せず,心的辞書との関連は典型モデルに比して強く,語彙依存の読解方略が示唆された.研究2では,学力への書記言語や語の活用,文法的知識の活用の重要性がすべての分析から示唆された.また学力低下傾向を示す群では,さらに多くの要因が学力に影響を及ぼしていた.読解力向上のために学力階層別に要因を検討する必要があり,特定の言語ドメインへのアプローチを安易に聴覚障害全般に適用することの危険性を示唆するものであった.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 聴覚障害児童の日本語読み能力評価と学習到達度に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      加藤哲則・川﨑聡大
    • 雑誌名

      教育オーディオロジー研究

      巻: 12 ページ: 29-34

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 聴覚障害児の読解構造モデルの検討-聴覚障害児童の日本語読み能力評価と学習到達度に関する検討-2019

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡大・加藤哲則・中西誠
    • 雑誌名

      教育オーディオロジー研究

      巻: 12 ページ: 35-41

    • 査読あり
  • [学会発表] 包括的領域別読み能力検査による学齢聴覚障害児の日本語読み能力の現状:第二報2019

    • 著者名/発表者名
      加藤哲則・川﨑聡大
    • 学会等名
      日本コミュニケーション障害学会第45回大会
  • [学会発表] 包括的領域別読み能力検査による学齢聴覚障害児の日本語読み能力の現状:第三報2019

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡大・加藤哲則
    • 学会等名
      日本コミュニケーション障害学会第45回大会
  • [学会発表] 包括的領域別読み能力検査による学齢聴覚障害児の日本語読み能力の現状2018

    • 著者名/発表者名
      加藤哲則・川﨑聡大
    • 学会等名
      日本コミュニケーション障害学会第44回大会
  • [学会発表] 聴覚障害児の日本語読み能力と学力2018

    • 著者名/発表者名
      加藤哲則
    • 学会等名
      福山聴覚障害教育研究協議会夏季学習会
    • 招待講演
  • [学会発表] 特別支援教育における読解力向上の試み -学習障害、視覚障害、聴覚障害といった垣根を越えて-2018

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡大・加藤哲則・荻布優子・松﨑泰・奥村智人・安藤明伸・岡野由美子・深谷圭助・樋口一宗
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第56回大会
  • [学会発表] 包括的領域別読み能力検査を用いた学齢聴覚障害児の日本語読み能力評価と学習到達度の検討(第2報)2018

    • 著者名/発表者名
      加藤哲則・川﨑聡大
    • 学会等名
      第52回全日本聾教育研究大会

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公開日: 2019-12-27  

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