研究課題/領域番号 |
16K04836
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
松本 秀彦 高知大学, 学内共同利用施設等, 特任准教授 (70348093)
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研究分担者 |
寺田 信一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00346701)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 障害学生支援 / 発達障害 / 早期発見・支援 / ファンクショナルGPA / 注意機能評価 |
研究実績の概要 |
発達障害のある学生の修学困難の早期兆候をGrade point average(GPA)の推移パタンで見出すための早期発見システム構築と、成績不振学生支援のアセスメント開発として、IVA-CPT課題による注意機能評価及び発達障害に関するチェックシートによるテストバッテリーを開発することを目的として実施された。 【研究1】発達障害学生事例におけるGPAパタンと修学困難の経緯:6名の発達障害(疑い含む)のある要支援学生のGPAの推移特徴をデータ化した。その結果、GPAは修学困難の場合1.5ポイントを上回らなかった。修学困難の経緯は、睡眠生活リズムの乱れ、質問スキルの低さ、授業内容の要点の理解の困難、課題に取り組む際のプランニングの弱さによるものだった。 【研究3】発達障害の行動特性を含む面談票の整備:「学習面で困っていること」、「授業に関する要望」、「人間関係」、「睡眠リズム」、「面談時の態度:顔色・視線・聞く態度・話す内容・言葉の量・自己開示の程度・着席の姿勢」から構成される面談票(松本、2015)をアドバイザー教員の全員面談で使用する体制を整えた。学生対応マニュアルへの掲載、学生ポートフォリオ相談記録画面にリンク掲載した。実際の使用による効果検証は研究2年次に行う。 【研究4】注意機能評価を加えたアセスメントテストバッテリー開発:ASDとADHDの注意機能の特性を把握するためのIVA-CPT課題を含むアセスメントバッテリー開発のために、定型発達学生20名を対象に実験を行った。発達障害と心身症のアセスメントは、大学生不安尺度CLAS、社交不安尺度LSAS-J、学生精神的健康調査(UPI)、ADHD尺度(ADHD-RS,CAADID)、ASD尺度(AQ-J)、困り感尺度(高橋ら,2012年)によって行われた。注意課題の成績はADHD自覚症状よりも不安との関連性が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究1】発達障害学生事例におけるGPAパタンと修学困難の経緯:GPAのデータ化を行ったが、それ以外に「不安状態・社交不安障害のチェックシート」、「IVA-CPT課題による注意機能測定」を実施できなかった。 【研究2】GPA推移パタン分類:GPAの年次推移データのパタン析出のための3か年分全学生のデータを取得しパタン解析を開始したが、確定パタンの析出のためにの分析作業を継続している。 【研究4】注意機能評価を加えたアセスメントテストバッテリー開発:定型発達学生を対象とした実験実施が10月からであったため、発達障害のある学生のデータを得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
【研究1】発達障害学生事例におけるGPAパタンと修学困難の発生経緯: 支援実施している学生の個々の不安状態・社交不安障害のチェックシート、IVA-CPT課題による注意機能測定を実施する。 【研究2】GPA推移パタン分類:GPAの年次推移パタンの析出を統計学の専門知識が高い研究者からの協力を得ながら解析作業を進めていく。 【研究3】発達障害の行動特性を含む面談票の整備:アドバイザー教員の全員面談で使用する体制の中に整備した面談票を実施するよう啓発するとともに、研究2年次に指導ケースの修学改善状況から効果検証を行う。 【研究4】注意機能評価を加えてアセスメントテストバッテリー開発:定型発達学生を20名増やすために7月までに実験を実施する。同時に発達障害のある学生のデータを取得する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究4の実験課題における研究参加者を定型発達学生40名及び発達障害学生10名と計画したが、実施できたのは20名であった。実験参加1名分の謝金を3,000円としており、約90,000円の差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究4の実験課題について平成28年度に実施できなかった学生人数分について追加して実施することを計画しているため、その分の謝金として使用する。
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