研究課題/領域番号 |
16K04836
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
松本 秀彦 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (70348093)
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研究分担者 |
寺田 信一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00346701)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大学生 / 発達障害 / アセスメントバッテリーテスト / 成績不振 / 早期発見 |
研究実績の概要 |
【研究2】入学年度3カ年分全員を対象として、卒業年度までのGPA値を最低年限で卒業した既卒群と5年以上で卒業した留年群の2群に分けてGPA値の分析を行った。人数は既卒群2,377名、留年群352名、計2,729名であった。平均値の差の検定では2群のカットオフポイントがわからないため、GPA値の四分位を用いて既卒群と留年群のカットオフ値を検討した。その結果、2年生1学期において、留年群上位75%タイル値が既卒群下位25%タイル値よりも低く(GPA値1.7)(評価点平均72点)なったことから、2学年1学期で留年生の成績低下の兆候を見いだせしうることが明らかになった。 【研究4】発達障害特性の注意機能を測定するためのアセスメント課題であるIVA-CPTを加えた検査バッテリー開発のために定型発達大学生を対象として検討した。大学生活不安(CLAS)、社交不安尺度(LSAS-J)、学生精神的健康調査(UPI)、困り感尺度ADHD、困り感尺度ASD、ADHD-RS(衝動性・不注意)及び総合GPA値を聴き取った。ADHD困り感尺度について重回帰分析した結果、「ADHD-RS不注意」(β=.641),IVA-CPTの「文字刺激反応時間」(β=-.506),「CLAS適応不安」(β=-.282)が変数として採用されたことから、注意機能の中でも不注意が強く視覚刺激への反応が遅く誤反応が高い者は困り感が高まること、GPA値を従属変数とした場合、IVA-CPTの「聴覚刺激エラー率」(β=-.793)、ADHD-RS衝動性(β=.558)が変数として採用され、聴覚的処理の弱さと衝動性が高いことがGPA値を低くすることが明らかになった。ADHD特性による修学での困り感が予測できる質問項目および実験課題の行動指標が明らかになったものと考えられ、アセスメントバッテリーを構成することができるという結論に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要に記載したような知見を得たが論文投稿の準備の段階であり、研究期間延長としたから。
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今後の研究の推進方策 |
GPA値の低下を観察することで成績不振の早期発見ができること、また注意機能の弱さが大学生活と修学に影響を与えることが客観的に把握できることは学生相談において有用なアセスメントバッテリーを組むことが可能になることを示している。今後はこれらを論文投稿して広く公表し、多くの高等教育機関で活用できるようにパッケージを提供するための研究を継続したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿のために英文校閲および投稿費を計上していたが、投稿論文の執筆が予定よりも遅れたため次年度で使用する必要が生じたため。2019年度においては9月までに論文を執筆し投稿することとする。
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