研究実績の概要 |
研究最終年度において成績指標により早期に留年可能性のある学生を発見するためのデータ解析を行い、成果を投稿準備した。またデータの整理保管作業を行った。 以下に大学生の成績不振兆候に関する検討結果の概要を示した。 【目的】発達障害のある学生が成績不振に陥る可能性は高いため、大学の早期に成績不振の兆候を見出して支援を開始することが必要である。そこで本研究では、早期発見のための基礎的なデータを得ることを目的とし、成績指標である取得単位数およびfunctional Grade Point Average(f-GPA)が卒業および留年と関連あるか統計的な検討を行った。 【方法】2,836名の大学生の学期ごとのf-GPA値、取得単位数、入試の種類、卒業所要年数(4年、5年以上、退学)を分析した。①1,2学年の前期後期それぞれにおけるf-GPAおよび取得単位数が卒業所要年数(4年卒業群、5年以上卒業群、退学群)によって差があるか分散分析を行った。②卒業所要年数を取得単位数,f-GPA及び入試種類が予測しうるのかどうか卒業所要年数群を予測変数として重回帰分析を行った。 【結果】4年で卒業83.8%、5年以上で卒業11.4%、退学4.4%であった。分散分析の結果、全期間において取得単位数およびf-GPAの平均は4年卒業群よりも5年以上卒業群の方が低く、退学群は卒業群よりも低かった。重回帰分析の標準化係数より、卒業年数を予測しうる変数は1年生後期の取得単位数、2年生後期のf-GPAおよび取得単位数であった。 【考察】特に重回帰分析の結果より、4年間で卒業できるかどうかの予測は、1年生後期と2年生後期の成績指標を用いることで可能になることが示唆された。
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