本研究は児童自立支援施設の矯正教育効果を測定する研究である。入所時にIQや自尊感情,攻撃性やうつ症状などを評価し,さらに退所時にも同様の測定を行った。その結果,自尊感情は有意に上昇し,うつ症状や乖離症状なども劇的に改善した。またWISC-4を使用してほぼ全員に知能検査を実施したところ,平均して約20ポイント近く上昇した。当然ながら深刻な学力遅滞を示していた子供たちも,学年相応程度のレベルまで学力をつけていた。これらの効果は単に夫婦小舎制度という疑似家族的な治療構造が生みだしているのではないかと考えられる。治療効果についてはポジティブな評価は多かったが,改めてエビデンスを示すことができた。
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