研究実績の概要 |
2年目にあたり,昨年度収集した英語の苦手さを訴えた生徒のデータを分析した。データはオリジナルに作成した検査に基づいている。その内容は,中1~中3までの英語の教科書から,綴りが不規則な単語を選び,25個ずつリストアップしたものである(例:中1名詞はschool, teacher, appleなど,中2名詞はlibrary, lunch, tomorrowなど,中3名詞はaddress, answer, languageなど,中1~中3動詞は,wear, litsen, walkなど)。 その結果,中1~中3と学年が上がるにつれて,日本語の単語を口頭で英語で言うこととともに,書字も低下することが明らかになった。このことは,新規な音韻を記憶し,意味と連合する段階の問題と,英語の音韻を文字に変換する段階の問題とに分けられることを示している。 英語の文字を音韻に変換するdecoding能力については,Woodcock Reading Mastery Test-Revisedの中の,Word Attack課題を用いて調べることができる。この課題においては,ローマ字読みの読み方を援用して音読する生徒が多かった。また,読める文字綴りの長さは2文字(op)~13文字(translibsodge)と,個人差が大きかった。 以上のことから,英語学習の基盤は音韻の聞き取りと記憶,それを意味記憶に結び付ける段階にあることが明らかにされた。 この結果を踏まえて,小6の2名の小学生の春休みに,中学生になってからの英語学習の準備として英語の音韻に親しむ授業を試験的に行ったところ,積極的に取り組むことができた。英語学習の第一歩として妥当な指導であったと考える。
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