研究課題/領域番号 |
16K04851
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
川崎 友絵 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (10321069)
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研究分担者 |
萩本 明子 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (60315900)
郷間 英世 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40234968)
和泉 美枝 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (10552268)
眞鍋 えみ子 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (30269774)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性疾患患児 / 心疾患 / 児童 / 教師 / 保護者 / 学校 / 研修 / 医教連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、小・中学校教師および保護者のニーズに即した「心疾患児の健康管理研修プログラム」の作成を試み、心疾患児の学校での支援の基盤を築くことを目的とする。2016年度は、ヒアリング調査をより詳細に行うため、慢性疾患患児を支える保護者および教師の学校生活に関する不安や困難感について文献レビューを行い、過去の研究結果と現状を把握した。結果、保護者の不安や困難感として、勉強の遅れ、友達関係、治療やセルフケアの継続困難、症状の出現や悪化、学校・教師の疾患理解や受入れ、学校設備の不備、病気や入院の周知、心身の状況への対応、トータルサポートシステムに関することなどが挙げられた。教師では、クラスメートへの対応、疾病理解や子どもの状況把握、子どもへどこまでさせてよいのかという不安、学校の設備の不備や通常業務の多忙、医療行為の実施、状態悪化や症状出現、保護者や子どもからの情報提供や協力、病気や入院の周知、専門家の協力に関することなどが挙げられた。以上の結果については、養護教諭などにスーパーバイズを受け信頼性を確認している。さらに、保護者と教師、双方の視点から心疾患児の健康管理に関する現状や問題点を明らかにするため、ヒアリング調査の実施に向けて、心疾患を専門とする医療機関との調整を行うとともに文献レビューの結果をふまえヒアリング内容の精査を行った。現在、大学の倫理委員会で承諾を得て、ヒアリング調査実施に向けて、準備をすすめるとともに医療機関との調整を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画では、2016年度は学校での心疾患児の健康管理に関する現状や問題点を明らかにする目的で、心疾患児を支える保護者と教師、双方へヒアリング調査を実施する予定であった。現在、ヒアリングに向けて医療機関や学校と調整中であり、研究計画に沿って到達度を評価すると「遅れている」と判断する。遅れている理由としては、医療機関や学校においての調査は、きめ細やかな配慮を要し綿密な打ち合わせや準備が必要なこと、さらに、ヒアリング調査を確実なものとするため文献レビューを追加したことなどが考えられる。文献レビューにより、今後のヒアリング調査においては、保護者や教師への理解が深まり、よりスムーズに調査が進行すると考える。なお、文献レビューの結果については、2017年8月に日本看護研究学会学術集会などにて、研究発表を行う予定であり、抄録は受理されている。 ヒアリング調査については、研究代表者が所属する大学の「人を対象とする研究」に関する倫理審査において、2016年12月に承認を受けており、現在は、心疾患を専門とする医療機関においての倫理審査に向けた打ち合わせと準備を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に、ヒアリング調査に向けての大学倫理審査委員会の承諾、心疾患を専門とする医療機関の医師の調査協力の承諾は得ている。またヒアリング調査の準備(ヒアリングガイドの作成、保護者や教師への依頼文、説明文と承諾書の作成など)は整っており、2017年度は、心疾患を専門とする医療機関での倫理審査に承諾を得次第、保護者にヒアリング調査を実施する。その後、保護者から紹介のあった教師にヒアリングを依頼し、教師(担任教師、養護教諭)と学校長の承諾を得て、ヒアリング調査を行う予定である。 ヒアリング調査で取得したデータについて、研究者間で詳細に分析を行い、学校における心疾患児の健康管理に関する現状や問題点を明確にし、心疾患児を支える保護者および教師の支援のニーズを把握する。さらに、その結果から、保護者と教師、双方へのアンケート調査の内容を検討する。 2018年度は、アンケート調査を実施し、ヒアリングおよびアンケートの分析結果を統合し、心疾患児を支える保護者および教師の支援のニーズを満たす研修プログラムの具体的な実施方法、内容を検討し、「心疾患児の健康管理研修プログラム」の作成と実施を目指す。同時に、研修プログラムの評価指標を作成することを視野の入れ、資料収集及び評価指標の作成について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究フィールドである心疾患を専門とする医療機関との調整に時間を要し、また、より詳細にヒアリング調査を行うため、文献レビューを追加したことにより、本調査の実施が遅れている。そのため、2016年度に使用する予定であったヒアリング調査のための書類の印刷費や謝金、対象となる医療機関や学校への打ち合わせや調査実施のための交通費、収集した音声データの文字起しや入力補助作業、質的分析の補助などの人件費、アンケート調査の依頼に関する費用、心疾患児の健康管理プログラム作成に関する専門知識を深めるための研修費などが繰り越され、次年度の使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度に実施予定のヒアリング調査のための書類の印刷費や謝金、対象となる医療機関や学校への打ち合わせや調査実施のための交通費、収集した音声データの文字起しや入力補助作業、質的分析の補助の人件費などの人件費に使用する。また、調査結果の信頼性や妥当性を担保するため、質的研究の専門家、小児心疾患の専門医師、教育関係者などからのスーパーバイズを受ける際の謝金にも使用する。年間数回の研究会議を開催し、調査結果の分析およびアンケート調査に向けての準備、研修会のプログラムの内容の検討、評価指標に関する検討を行う予定であり、会議費に使用する。研究成果の発表のための学会参加、「心疾患児の健康管理研修プログラム」の作成に関する専門知識を深めるための研修などにかかわる旅費に使用する。
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