研究課題/領域番号 |
16K04851
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
川崎 友絵 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (10321069)
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研究分担者 |
萩本 明子 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (60315900)
郷間 英世 姫路大学, 看護学部, 教授 (40234968)
和泉 美枝 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (10552268)
眞鍋 えみ子 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (30269774)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心疾患児 / 学校生活 / 保護者 / 教師 / 小児看護 / 特別支援教育 / 病弱児 / 研修プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、小・中学校教師および保護者のニーズに即した「心疾患児の健康管理研修プログラム」の作成を試み、心疾患児の学校での支援の基盤を築くことを目的とする。2018年度の実績としては、心疾患児の学校生活の実態とニーズを把握するため、2017年12月~2018年5月に、家族会の保護者、保護者を通じて紹介のあった心疾患児をもつ母親10名を対象にヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査で得た内容を逐語的に記述し、コード化、カテゴリー化を行い分析を進めた。その結果、母親の視点からみた心疾患児が小学校生活を送る上で生じる問題点および母親の思いや希望を抽出し、支援に関するニーズについて、実態を把握することができた。母親へのヒアリング調査結果については、日本看護研究学会第45回学術集会(2019年8月)において発表する予定である。次に、学校の教師の視点から、心疾患児の学校生活の実態とニーズを把握するため、2018年5月~7月に、保護者の協力を得て、心疾患児が通う小学校の担任教師と養護教諭、各3名にヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査で得た内容を同様に分析を進めた。その結果、担任教師および養護教諭の視点からの実態や問題点を抽出することができた。さらに、実際に小学校で教師や養護教諭が行っている心疾患児への支援や教師の研修のニーズに関する要望についても把握した。なお、担任教師および養護教諭へのヒアリング調査結果については、日本育療学会第23回学術集会(2019年8月)において発表する予定である。 これらの母親と教師、両者へのヒアリング調査の結果をふまえて、現在は、教師を対象とした研修プログラムの作成を試みており、2019年に実施、評価を行う予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の2016年は、研究を開始するにあたり、関連機関との調整やヒアリング対象者の選定に時間を要し、2017年にかけて、調査が実施できる基盤づくりを行った。同時に2017年度は、慢性疾患患児を支える保護者および教師の学校生活に関する不安や困難感について、文献レビューを行い、過去の研究結果から現状を把握した。そして、その結果を日本育療学会第21回学術集会(2017年8月)および同志社女子大学学術研究年報第68巻(2017年12月)において報告した。 2018年度は、心疾患児の母親と心疾患児を担任する教師や養護教諭へのヒアリング調査を実施し、母親および教師、双方の視点から学校での心疾患児の健康管理に関する現状や問題点を把握することができた。また教師の研修へのニーズに関しても要望を確認した。そして、教師のニーズに沿い、さらに母親から得た現状も加えて研修内容について検討を行い、教師を対象とした「心疾患児の健康管理セミナー」のプログラムの作成を試み、実施に向けての計画を立てた。このプログラムについては、2018年12月に同志社女子大学の「人を対象とする研究」に関する倫理審査委員会で承認を得ており、2019年7~8月に実際に研修を実施できるよう準備を進めている段階である。研究計画に沿って到達度を評価すると、2018年度は遅れをやや取り戻し、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、教師を対象とした「心疾患児の健康管理セミナー」のプログラムを実施し、実施後にアンケート調査を行うことで、セミナーの評価を行う予定である。セミナーは、教師および母親のニーズを満たす内容とするため、小児循環器が専門の医師とBLSインストラクターとしての経験が豊富な看護師に講師を依頼している。また、セミナー後にアンケート調査を実施し、セミナーを評価する予定である。十分な人数を確保するため、2019年5月~7月に、セミナーに参加して下さる教師の公募を速やかに開始する予定である。その際、2018年に実施したヒアリング調査でご協力をいただいた学校の担任教師および養護教諭から募集を開始し、次に、教員養成を行っている大学、教育委員会、特別支援学校の地域支援センター、養護教諭研究会等に研究参加者募集の広報の依頼を行う。セミナーの参加者が定員に満たなかった場合は、保護者へのヒアリング調査を行った保護者会等にも依頼をし、会員の子ども達が通学する学校の教師へ郵送で募集文を通知し募集する。さらに、大学所在地の市の広報誌、京都新聞など、公共の広告にて募集文を公表し、円滑に参加者を募るよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度、研究を開始するにあたり、関連機関との調整やヒアリング対象者の選定に時間がかかり、予算の執行においても、おおよそ一年遅れていると考える。そのため、2018年度に使用する予定であったセミナー開催のための講師に対する謝金、打ち合わせのための費用、セミナー参加者への謝金、セミナー補助要員への謝金などの人件費が、2019年度に繰り越しとなり、次年度の使用額が生じた。現在、セミナー開催に向けて準備中であり、これらの経費については、計画書通りに使用していく予定である。また、2019年度中に、これまでのヒアリング調査の成果報告を学会で行うための旅費を使用する予定であり、順当に使用していくよう努める。
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