本研究では、発達障害児の児童期から思春期にかけての地域育児支援(保護者によるピア・グループサポート)実践の分析を通して、この時期の子育ての課題と支援のニーズを明らかにし、地域生活に根ざす持続的ピア・グループサポートが児童期から思春期の子どもと保護者にどう貢献するかを明らかにし、発達障害児の子育てにおける保護者主体の持続的な地域育児支援のあり方と専門家の役割を提示することを目的とした。 基礎的研究として、児童期から思春期の発達障害児の保護者同士のピア・グループサポート(母親同士による子育ての話し合い)について検討するために、「オープンダイアローグ(開かれた話)」、「当事者研究」など議論に示唆を得て、保護者による地域育児支援(ピア・グループサポート)の意義や専門家の役割について整理を試みた。 ピア・グループサポート実践の追跡研究としては、研究代表者らが参加・支援する発達障害児の母親らによる保護者と児童期以降の子どもの「自主サークル」(地域での交流と相互支援を主旨とし、K市主催の育てにくい子どもと発達障害乳幼児の「子育て教室」よりH22に立ち上げ)における、保護者のピア・グループサポート実践の記録に基づき、学童期・思春期の「子育ての課題と支援のニーズ」、「ピア・グループサポートの意義」、「支援者の役割」などの観点から検討し、ピア・グループサポートが学童期・思春期の子育てと保護者の主体者としての成長にどう貢献しているかを考察した。
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