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2020 年度 実施状況報告書

メンター機能を活用した自閉症幼児の家族への早期支援プログラムの開発と効果評価

研究課題

研究課題/領域番号 16K04860
研究機関独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

研究代表者

柳澤 亜希子  独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, インクルーシブ教育システム推進センター, 主任研究員 (10435282)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード自閉症 / ペアレント・メンター / 家族支援 / 幼児期
研究実績の概要

106名のペアレント・メンター(以下、メンター)への聞き取り調査の分析から、以下のことが明らかとなった。
メンターは、相談支援活動を行う中で同じ親の立場であるからこそ相談者の悩みや不安を軽減したいという気持ちが生じる一方で、役割上、線引きをしなければいけないことに葛藤を感じていた。メンターが安心して相談支援活動に従事できるようにするためには、彼らが抱く葛藤や悩みをケアすることが求められる。一方、相談者の気持ちに共感する中で、メンターは自身の子育てを振り返り、自己肯定していることがわかった。これは、自分自身に対する自信と相談支援活動への動機付けになっていた。メンター活動の意義やこの活動によって得られる成果を発信することは、後進メンターを増やしていく上で重要である。後進メンターの育成には、未だメンターの存在や役割が十分に知られていないといった課題があり、一層の周知・啓発の必要性が示された。その他の課題としては、相談支援活動の実働メンバーであるメンターの年齢層が高い地域や活動対象地域が広範囲であったり、遠方地域への派遣を求められたりするメンターでは、移動や活動のための日程調整等の負担が生じていた。
メンターが相談支援活動を継続するには、研修の実施も不可欠である。メンターが希望する研修内容としては、メンター同士が相談支援活動で直面した体験や課題を共有するグループ協議やロールプレイといった実演的な内容が求められていることが明らかとなった。メンターにおいては、交通事情や家庭・就労事情によって研修に参加することが容易ではない状況がある。従来の集合型研修だけでなく、リモートサービスを導入した研修やオンデマンドによる講義動画配信を組み合わせた新たな研修形態が求められる。
本研究では、メンターの活動をバックアップし、本事業を伸展させていく上での有益な示唆を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

調査に協力いただいた各地域の機関とペアレント・メンター全員に、調査結果を還元した。調査結果からペアレント・メンターによる相談支援活動において共通して見出された成果と課題、そして、地域事情が反映された課題を明らかにすることができた。
地域ごとに分析結果のまとめを還元したところ、ペアレント・メンター事業の運営を担っている機関からは、今後の事業展開の参考にできるとして、本事業の委託元である自治体にも本調査結果を共有いただいており、地域でのペアレント・メンター事業の伸展に寄与する知見を提供することができた。
一方、予定していた研究論文については、質的分析に時間を要し、執筆が滞ってしまった。また、コロナ感染症の拡大に伴い参加予定であった学会が中止となり、研究成果を発表することができなかった。

今後の研究の推進方策

調査結果については現在、論文を執筆中であり、当初の予定通り関連学会へ投稿する。加えて、論文でまとめた全国的な調査結果については、研究協力機関と調査に協力いただいたメンター、そして調査協力いただいた地域で登録しているメンター向けに簡易な形にまとめ直して還元する予定である。

次年度使用額が生じた理由

調査結果の質的分析に時間を要し、当初の予定通り論文執筆を進めることができなかった。論文投稿に係る経費と、調査協力いただいた機関とメンター及び協力地域で登録しているメンターに対して研究成果を還元する経費(郵送費)として使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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