研究最終年度では、前年度までの研究実施状況から中規模校として分類される日本人学校における合理的配慮の提供を含む特別な支援を有する児童生徒に対する指導・支援に関する課題が大きいことが明らかとなったことから、更に中規模校における実態を明らかとするために2020年10月20日から10月23日にかけて北京日本人学校における実地調査を実施した。当該実地調査では、北京日本人学校における特別な支援を必要とする児童生徒に対する支援の実際や課題等について把握するとともに、合理的配慮に関するアンケート調査を実施した。調査には19名の教員が回答を寄せてくれた。調査結果で特徴的だったのは、「合理的配慮」についてはほとんどが「意味を含めて知っていた」、「意味は知らないが聞いたことはある」と回答したのに対して、「基礎的環境整備」については半数以上が「聞いたことはない」と回答した点であった。また、合理的配慮は本人や保護者の要求があってはじめて学校が提供すするものであることを知っていた教員は一人もいなかった。 これに先立ち2020年9月21日から9月23日にかけて広島大学東広島キャンパスを会場として開催された第57回日本特殊教育学会において口頭発表「日本人学校における合理的配慮(3)」を行い、①学校規模別の指導・支援に関する特徴、②文部科学省にが示した合理的配慮の提供に係る実行性を示した。 さらに、間接的ではあるが本研究の成果として、財団法人海外子女教育振興財団が文部科学省と共同で実施している「在外教育施設の高度グローバル人材育成拠点事業」の運営指導委員長として、当該事業の推進に資するために運営委員会におけるとりまとめを行った。
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