研究実績の概要 |
昨年に引き続き、電子状態のトポロジーに起因した異常熱電係数を解析する第一原理計算プログラムの開発・整備をおこない,学外の実験・理論グループ(東京大学物性研究所、理化学研究所)との共同研究を開始した。またこれまでの成果をまとめて論文投稿作業を継続しておこない、(i) スキルミオン結晶(SkX)の現実的なモデ ル,(ii) 室温強磁性体であるハーフホイスラー合金系について、それぞれ論文(i) Y.P. Mizuta, H. Sawahata, and F. Ishii, Large Anomalous Nernst Coefficient in an Oxide Skyrmion Crystal Chern Insulator, Physical Review B, 98, 205125 (2018), (ii) S. Minami, F. Ishii, Y.P. Mizuta, and M. Saito, First-principles study on thermoelectric properties of half-Heusler compounds CoMSb(M=Sc, Ti, V, Cr, and Mn), Appl. Phys. Lett. 113, 032403 (2018)として出版した。またこれらの成果について国際会議 "The 21st Asian Workshop on First-Principles Electronic Structure Calculations"で招待講演をおこなった。熱電変換効率をより詳細に見積もるため、熱伝導率を計算する第一原理計算プログラムの整備をおこない、電子系の熱伝導率に加えて、二つの公開ソフトOpenMXとALAMODEのインターフェースを作成することで、格子系の熱伝導率の計算をおこなう研究をおこない、計算が可能となった。以上に加えて、スピネル型構造Ir2O4薄膜に関する研究をおこない、S. Onoda and F. Ishii, First-principles design of the spinel iridate Ir2O4 for high-temperature quantum spin ice, Phys. Rev. Lett. 122, 067201(2019)として出版した。この研究成果は磁気秩序ではなくカイラル秩序による異常ネルンスト効果の研究への展開が期待できる。
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