研究実績の概要 |
フッ素系界面活性剤とPEO-PPOブロックコポリマーの混合水溶液中で空気バブルを調製し、塩化金酸水溶液を添加すると金中空微粒子が形成することが確認された。そこで、金中空微粒子の安定的な製造、粒子径、膜厚の制御方法、バブル表面に集積した金ナノ粒子の固定化を目標として、フッ素系界面活性剤の種類の影響、フッ素系ガスの導入について検討した。金中空微粒子を安定的に製造するために、バブルを安定化(バブルを長寿命化)すると考えられるフッ素系界面活性剤(Heptadecafluorononanoic acid, Ammonium pentadecafluorooctanoate, Nonafluoro-1-butanesulfonic acid, Potassium nonafluoro-1-butanesulfonate)とPEO-PPOブロックコポリマー(Pluronic F108; EO132PO50EO132)を混合して金中空微粒子の作製を試みた。その結果、いずれのフッ素系界面活性剤を混合した場合でも、金中空微粒子を安定的に作製することができないことが分かった。そこで、さらに、バブルを安定化(長寿命化)させるため、水への溶解度が低いフッ化炭素ガスを導入して金中空微粒子の作製を試みた。その結果、Pluronic F108とNonafluoro-1-butanesulfonic acidを混合した場合に、球状金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴(SPR)に由来する吸収スペクトルと金中空微粒子のSPRに由来する長波長側の吸収スペクトルが観測された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察においても球状金ナノ粒子と金ナノ粒子の凝集体が確認された。このことから、水中に形成したバブルを安定化(長寿命化)することにより、金中空微粒子を作製できることが明らかとなった。
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