研究課題
研究代表者は、IgG-Fc結合ZZタグを整列提示するバイオナノ粒子(ZZタグ提示型バイオナノカプセル:ZZ-BNC)が、バイオセンシング表面においてIgG及びFc融合受容体の配向性を精密に制御し「クラスター化と整列提示化」を同時に達成できる耐久性の高い足場分子であることを見出し、各種バイオセンシングの高感度化を示してきた。そこで本研究は、ZZ-BNC足場技術を「酵素」の整列提示化に発展させ、インビトロでの生産が困難なフラボノイド生合成経路を例に用いて、フラボノイド合成酵素群を整列提示できる改変型ZZ-BNCを作製し、さらに、同一固相上(2次元膜上)で生合成経路の順番に酵素を整列提示できるユニークな「ナノブロック型足場技術」の開発を目指している。平成29年度は、平成28年度に引き続き、各種アミノ酸Tagに対するAffibody提示BNCの作製法およびフラボノイド合成酵素群提示BNCの作製法を検討した。さらに、BNCを脂質平面膜上に二次元展開する方法およびAFMを用いた形状解析法を検討した。本技術は本研究課題の中心技術であることから、その検討意義、重要性は高いと考える。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度は、平成28年度に引き続き、各種アミノ酸Tagに対するAffibody提示BNCの作製およびフラボノイド合成酵素群提示BNCの作製を検討している。さらに、BNCとリポソームの融合法を用いて脂質平面膜上に二次元展開する方法を確立し、AFMを用いた形状解析を行っていることから、当初の計画通りおおむね順調に進展していると考える。
平成29年度に引き続き、フラボノイド合成酵素群提示BNCの作製法、および各酵素提示BNCとリポソームの融合法を用いて、2次元膜上で各酵素が生合成経路の順番に整列提示するナノブロックの構築を検討するとともに、イソフラボン合成酵素を足場としたメタボロン形成をHS-AFMを用いて観察する方法を検討し、測定技術を確立する。さらに、基質を加えて合成されたフラボノイドを、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し評価する。なお、これらの研究により得られた成果は、原著論文、学会、ホームページ等で幅広く発表する。
理由:平成29年度に実施した研究において、AFMによる形状解析の観察条件が最適化されたことで、当初の使用計画で計上した物品費(消耗品費)の、特にカンチレバーの過剰な使用を削減できた。そこで本研究費は、次年度の研究計画に必要な物品費、特に高速液体クロマトグラフィーの使用頻度が増えることが予想される試薬類やカラム関連の消耗品費に使用することとしたため、次年度使用額が生じた。使用計画:平成29年度と同様に、主に物品費(消耗品費)、旅費(学会発表や研究セミナー参加等)、その他(論文投稿費、印刷費)、について使用する。なお、物品費(消耗品費)は、一般試薬、ガラス及び使い捨て器具、タンパク質試薬類などを主として使用する。
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