研究課題
現在、数多くの化学物質が開発されている。それらの殆どは、我々にとって生体異物(Xenobiotics)であり生体への影響が懸念される。個々の物質は厳密な安全性試験をクリアしているが、それらが体内のどこに蓄積され、種々の代謝を受けた場合、どのような影響を受けるのかについては十分に分かっていない。意図せずに生体異物に接触、摂取し、それが原因で内臓疾患を引き起こす恐れがある。本申請では、こういった生体異物暴露後の侵入経路・体内動態を「ナノ微粒子イメージング質量分析」という新しい手法で「見る」ことによって、疾病機構解明、化学物質の安全性評価に貢献することが目的である。2年間で身体に悪影響を及ぼす生体物の動態を解明することができた。3年目は、様々な生体異物投与で結果が異なるかを調べた。還元型コエンザイムQ10は(以下、CoQ10)は、我々が生きるエネルギーとして使用するアデノシン三リン酸(ATP)を産生する補酵素であり、健康サプリメントとして名高い。また、脳機能改善効果が報告されている。CoQ10摂取後のマウス脳をイメージング質量分析で解析したところ、記憶、行動といった部位でCoQ10が増加していることを明らかにしている。パーキンソン病で犯される「黒質」部位では、摂取後にCoQ10が4倍増加していた。これは、増加部位でのATP産生が増加することを示唆しており、すなわち、その部位の細胞が活性化することを示している。(S.Taira et al. Scientific Reports(Nature出版社)(2017))。
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