研究実績の概要 |
本年度は前年度までに考案した,金属ナノ粒子内包担持型プラズモニック光触媒における,TiO2保護層(20nm)/Agナノ粒子/アナターセTiO2主触媒層/Si基板の構造の,可視光(410nm)励起での光触媒活性評価から着手した.しかしながら,本内包担持構造の可視光励起光触媒活性は,2017年度までの下層担持構造型を上回ることができなかった.構造解析から,内包担持型ではRTA処理(400℃, 60s)による,島状構造から充分な粒状化を達成できておらず,その原因は下層アナターゼTiO2主触媒層表面の凹凸が激しく,RTA処理時にAg原子が下層アナターゼTiO2主触媒層の表面空隙に浸透してしまい,粒状化のためのAgの自己拡散を阻害していることが判明した. そこで下層アナターゼTiO2主触媒層の表面形状の平坦性を向上させる生成プロセスを再検討した結果,下層TiO2主触媒層をPLAにより堆積する際,反応性雰囲気ガスであるO2の圧力を低下させることとした.具体的にはこれまでの13 Paから9 Paに低下させた.このO2,9 PaのPLA堆積とRTA(600℃, 60s, O2)により形成された下層アナターセTiO2主触媒層の表面構造は充分な平坦性を有しており,この上層に形成したAgナノ構造体はRTA(400℃, 60s)により充分な粒状化が達成されていることが確認できた. このTiO2保護層(20nm)/Agナノ粒子/アナターセTiO2主触媒層構造の光透過から400nm近傍に光吸収帯が観測された.これが中間層のAgナノ粒子による局在表面プラズモン共鳴吸収と考えられる.可視域(410nm)励起による光触媒活性評価から,今回のO2,9Pa中のPLAにより創製された金属ナノ粒子内包担持型構造は,これまでのO2,13Pa中のPLAにより創製された際に比較して,1.4倍の活性を示した.
|