研究課題
本研究は、細胞の硬さや粘弾性、変形能などの機械的特性と、機械特性に関連する遺伝子の発現量を対応付け可能とする手法の開発を目的として、マイクロマシニングにより作製するMEMSピンセットを用いた機械特性計測と遺伝子発現解析系への接続を実施した。平成30年度の実施概要は以下である。(1) MEMピンセットの駆動範囲の設計改良と開発: MEMSピンセットのプローブは、これまで3マイクロメートル程度の変位量しかなく、小さなサイズの細胞は捕獲できない場合があった。そこで基本ギャップを16-24マイクロメートルと設計したが、デバイス作製時の装置状態により歩留まりが変わり、適切なギャップを持つデバイスの個数が限られる問題があった。そこで、細胞把持用プローブのバネ構造を大きな変位を得られる形状に設計、デバイスを作製した。(2) 単一細胞の機械特性計測・遺伝子発現解析: 遺伝子発現解析では、逆転写ポリメラーゼ反応とリアルタイムqPCTを組み合わせたRT-qPCRを用いた。ターゲットとするタンパク質は、細胞骨格の一種であるVimentinと、ハウスキーピング遺伝子のGAPDHを選択した。単一細胞をMEMSピンセットで把持し、共振周波数応答を計測したのち、MEMSのプローブに把持した細胞を細胞溶解液に浸漬した。この溶液について逆転写反応、リアルタイムqPCRにて増幅量を計測した。リアルタイムqPCRの結果では、細胞サンプルのVimentin, GAPDH増幅中に、ネガティブコントロールの蛍光が検出された。確認のため、同じサンプルを、電気泳動により分離・検出したところ、本来は生じない50-100bpからも蛍光が確認された。この原因として、操作中のコンタミネーションが考えられる。上記の手順を数回繰り返したが、同様にネガティブコントロールからの蛍光が検出され、発現量を決定することはできなかった。
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Scientific Reports
巻: 8 ページ: 5816
https://doi.org/10.1038/s41598-019-42267-x
Sensors and Materials
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