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2018 年度 実施状況報告書

オンチップ免疫粒子電気泳動原理によるヒト乳がんエクソソームの1粒子解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K04915
研究機関東京工業大学

研究代表者

赤木 貴則  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 研究員 (80401149)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードエクソソーム / 細胞外小胞 / 計量書誌学
研究実績の概要

免疫電気泳動原理による乳がんエクソソーム分析について、データベースに登録された学術論文と特許文献に対して計量書誌学的アプローチによる分析を行うことにより、昨年度までの成果を取りまとめる上で重要となる社会実装に向けた知財戦略の側面からの調査研究を加えた。具体的には、エクソソーム関連技術の学術論文数と特許文献数の経時的変化が、学術論文数と特許文献数(パテントファミリーは1としてカウント)が2007年以降大幅に増加するなど、同様の増加傾向であることを確認した。このうち、共通特許分類(CPC)のサブグループに着目して詳細に分析したところ、本研究技術と同様の、粒子分析に技術的特徴がある特許の出願数は2012年以降に特に増加するとともに、権利化が進められていることを確認した。他のサブグループも含めて傾向を俯瞰することで、エクソソーム研究分野における技術開発の動向を、特許文献の書誌学的アプローチによって分析し、予測できる可能性が見いだされた。また、粒子分析に技術的特徴がある特許について世界の研究開発動向を調べると、特に中国において、2017-2018年に出願された複数の特許が早期に登録されており、これらが事業化を急いでいる技術、或いは既存の事業を補強する技術であると推察されることから、今後、中国で公開される特許情報を注視することの重要性が示唆された。この成果をまとめて書籍への原稿を1報執筆するともに、論文1報および学会発表2件を行うことにより、研究成果の社会への還元に努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

免疫電気泳動原理による乳がんエクソソーム分析について、社会実装に向けた課題の1つである知財戦略の側面から予備的な研究を行った。具体的には、無料で利用可能なデータベースであるGoogle Scholar及びGoogle Patentsに登録された学術論文と特許文献に対して、計量書誌学的アプローチによる分析を行った。エクソソーム関連技術文献の母集団は、「exosome」、「extracellular vesicle」のキーワードを用いて見積もった。特許文献に関しては、17の国及び機関に出願され公開された、16の言語のものを対象とした。
エクソソーム関連技術の学術論文数の年次変化は2001年以降微増傾向であったが、エクソソームがマイクロRNAを内包していることが発見された2007年以降大幅に増加し、2007年の約3,000報から2017年の約18,000報へと10年間で約6倍に増加した。一方,エクソソーム関連技術の特許文献数においては、パテントファミリーの出願数が学術論文数と同様の増加傾向であることが確認された。このうち、共通特許分類(CPC)のサブグループに着目して分析したところ、粒子分析に技術的特徴がある特許の出願数は2012年以降に増加し、権利化も進められており、この傾向がエクソソーム関連学会での議題等の傾向と同様であり、エクソソーム研究者が直面する技術的課題を反映しているものと考えられた。
また、粒子分析に技術的特徴がある特許について、特に中国において、2017-2018年に複数の特許が既に登録されており、これらが事業化を急いでいる技術、或いは既存の事業を補強する技術であると推察されることから、中国で公開される特許情報を注視することの重要性が示唆されるなど、新たな知見を得た。

今後の研究の推進方策

前年度までの成果をまとめる。すなわち、チップ型エクソソーム解析システムを用いる乳がん細胞株由来のEVおよびエクソソームの粒子径およびゼータ電位を指標した解析法について、これまで得られた成果の位置づけについてとりまとめる。また、本手法を含めたエクソソーム研究に関する技術について、実用化に向けて必要な課題等を計量書誌学的アプローチなどを駆使して検討する。

次年度使用額が生じた理由

免疫電気泳動原理による乳がんエクソソーム分析法の社会実装に向けての課題の1つである知財戦略の側面から研究を進めたところ、エクソソーム研究の分野が抱える技術的課題の動向について書誌学的アプローチにより分析できる可能性を新たに見出した。本研究の成果をまとめる上で、この新たな知見を検討することで、研究の意義を拡張できる可能性が高い。しかしながら、この検討には時間を要し、この成果について外部発表等を行う経費が必要である。そこで、研究期間を1年延長するとともに、外部発表等を行うために、次年度使用額が生じた。
使用計画としては外部発表に必要な旅費、英文校閲にかかる費用、および、投稿等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Subtypes of tumour cell-derived small extracellular vesicles having differently externalized phosphatidylserine2019

    • 著者名/発表者名
      S. Matsumura, T. Minamisawa, K. Suga, H. Kishita, T. Akagi, T. Ichiki, Y. Ichikawa, K. Shiba
    • 雑誌名

      J. Extracell. Vesicles

      巻: 8 ページ: 1579541

    • DOI

      10.1080/20013078.2019.1579541

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] エクソソーム電気泳動解析を高効率化するシアル酸認識 高分子の設計と評価2018

    • 著者名/発表者名
      鹿谷真紀、松元亮、宮原裕二、合田達郎、田畑美幸、カブラルオラシオ、宮崎拓也、一木隆範、赤木貴則、木下ひろみ
    • 学会等名
      第67回高分子討論会
  • [学会発表] Microfluidic device provides a solution for a time-course analysis of EV secretion2018

    • 著者名/発表者名
      Takanori Ichiki, Takanori Akagi
    • 学会等名
      Annual Meeting of ISEV2018
    • 国際学会
  • [図書] エクソソーム関連技術の研究開発状況と1 粒子表面分析法の立ち位置(分担執筆)「早期発見・予防に向けた次世代がん検査技術の最前線 第18章」2019

    • 著者名/発表者名
      赤木貴則
    • 総ページ数
      10
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      978-4-7813-1405-1

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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