研究実績の概要 |
平成30年度は以下を実施した. (1)ゲル粒子の形状に影響を与える因子の評価:前年度までに実施したゲル粒子作製において,得られるゲル粒子の真球度に影響を及ぼす因子を評価した.結果,カルシウムイオン(Ca2+)を含有する油中水(W/O)型エマルションの油相と水相の体積比率の影響が顕著であることを見出した.体積比率の適切な設定により,例えば平均径160μm, CV値4.2%,真球度0.96の単分散且つ高真球度のゲル粒子が得られた. (2)球状ゲル粒子の表面修飾:マイクロ流路内のNa-alginate液滴の両脇から供給するCa2+含有W/Oエマルション滴内にFe3O4ナノ粒子をあらかじめ分散させ,生成される球状ゲル粒子の表面をFe3O4ナノ粒子で被覆することを試みた.得られた球状ゲル粒子を光学顕微鏡および電子顕微鏡にて観察したところ,ゲル粒子の表面近傍のみにFe3O4ナノ粒子が固定化されている様子を確認できた.さらに,両脇から供給するCa2+含有エマルションの片方のみにFe3O4ナノ粒子を分散し,およそ半球がFe3O4ナノ粒子で被覆された球状ゲル粒子を得た.またこれらのFe3O4ナノ粒子で表面修飾されたゲル粒子を外部磁場の印加により操作することができた. (3)球状ゲル粒子量産を目的としたW/Oエマルション量産装置の作製:ゲル粒子の前駆体となるW/Oエマルションの生成量をスケールアップさせる装置を作製した.ソフトリソグラフィ法を用いて100-1000本の流路を高密度に並べたシリコーン樹脂(Polydimethylsiloxane, PDMS)チップと機械加工で作製したステンレス製の液体供給装置を組合せ,直径のCV値10%が以下の液滴の生成を確認した.
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