研究実績の概要 |
非磁性ブロック・非磁性絶縁障壁を導入した積層構造六方晶フェライトの作製を試みた。具体的には、RブロックとSブロックの交互積層構造をとるM型フェライトに対し、Ti4+イオンおよびMg2+イオンの導入を試みた。試料の組成および焼成温度をコントロールすることにより、積層結晶構造単相の生成条件を探索した。原料としてBaCO3, α-Fe2O3, MgO, TiO2を用いて、目的の化学量論組成になるように秤量した。これらを湿式混合した原料粉を900℃で仮焼成した。仮焼成後、遊星ボールミルで粉砕し、加圧成形し、1100~1400℃で5時間本焼成した。試料の結晶構造をX線回折(XRD)によって同定した。 その結果、広い範囲でのMg, Ti置換したM型フェライトの作製に成功し、置換によるキュリー点の変化を観測した。これは系統立って非磁性イオンを導入することに成功したことを示している。 また、高濃度の非磁性イオンを導入するのに際し、異相も生成した。これより、積層結晶構造単相が生成するためには、母物質と化学量論が異なっていることが判明した。この組成をコントロールすることにより、異相の生成を抑え、単相にすることに成功した。以上より絶縁障壁となる非磁性ブロックの構成要素となる、非磁性イオンを注入した積層構造試料の作製に成功した。 また、その周辺物質の探索も行い、Ca系六方晶フェライト材料の作製にも成功した。このような物質探索は、新材料開発研究の礎石となるものであり、重要なものである。
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