現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に従い、フタロシアニンシートの合成及び窒素ドープ炭素の合成に関する研究を推進した。各進捗状況を以下に示す。 1.フタロシアニンシートの原料となる各種オクタシアノ金属フタロシアニンを合成し、同定した。次に各種オクタシアノ金属フタロシアニンをビルディングブロックとしたフタロシアニンシート合成において、ボールミリングによる反応前処理を施すことにより、炭素不純物の低減を達成した。現研究段階で純度の高いフタロシアニンシート合成の可能性を示すことが出来た。さらに合成した各種オクタシアノ金属フタロシアニンを用いて各種フタロシアニンシート合成を試み、Mn, Fe, Co, Cuフタロシアニンシートの合成に成功した。また、磁気測定によりその磁性を調査した。 2. TCPNをビルディングブロックに用いた場合、反応生成物が窒素を多量に含むナノグラファイトであること、ナノグラファイトのエッジ、空孔に生じた磁気モーメントによる常磁性を明らかにした。加えて、各種遷移金属をカップリング材に用い、各種炭素材料の合成を行った。X線回折、X線光電子分光法、透過型電子顕微鏡により反応生成物の構造を調査し、窒素配位遷移金属イオンが均一分散したナノグラファイトであることを突き止めた。また、遷移金属に由来する磁性を明らかにした。 窒素ドープ炭素の合成において有機ビルディングブロックの検討を行った。有機ビルディングブロックをメラミン、シアヌル酸クロリドに変更し、反応を検討したところ、特定の反応条件で規則構造を示す反応生成物を得た。反応生成物のX線構造解析を行い、2次元窒化炭素物質であるポリトリアジンイミドが生成したことを突きとめた。 以上の研究により、当初の研究目標を達成した。さらに、当初の研究計画より研究を進め、2次元窒化炭素物質であるポリトリアジンイミドの新規合成法を見出した。
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