研究課題/領域番号 |
16K04941
|
研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
山田 俊樹 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 主任研究員 (10359101)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 電気光学ポリマー / 電気光学色素 / 耐熱性 / 電荷注入 / 有機半導体 / 屈折率変調 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新規な有機屈折率変調材料・デバイスの開発を行うことである。赤外光(1.3, 1.5μm)で利用され、超高速応答が可能な有機電気光学ポリマーに対しては新規な耐熱性・熱安定性を有する電気光学ポリマーの開発を行う。また、近赤外(~800 nm(生体透過波長域))、可視光の波長域における、MHz程度の応答周波数をもつ、新規な有機電荷注入型の屈折率変調デバイスの作製を目指すことである。 本年度は、主に新規電気光学色素の開発と共に、超高速応答が可能な有機電気光学ポリマーに対しては新規な耐熱性・熱安定性を有する電気光学ポリマーの開発を行った。新規電気光学色素の開発に関しては査読付論文"Important role of the ethylenedioxy group bound to the thienyl-di-vinylene π-conjugation unit of tricyanofuran-based donor-acceptor electro-optic chromophores", Optical Materials Express, Vol.6, No.7, 2016, pp.3020-3035.が出版された。本研究に関連するテーマで招待講演等も行った。熱刺激電流法により電気光学ポリマーの配向緩和の評価する方法をまとめた著書(分担執筆)が出版された。Telcodia規格GR-468に基づいた信頼性試験(85℃、2000時間の環境テスト)を行い、耐熱性の高い電気光学ポリマーが開発された。また更に高温で105℃でも耐熱性を持つクロスリンク型の電気光学ポリマーの開発に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規EO色素を開発すると共に、超高速応答が可能な有機電気光学(EO)ポリマーに対して、新規な耐熱性・熱安定性を有するEOポリマーの開発を行った。新規EO色素に関しては、耐熱性の高い新規EO色素の開発に成功し、査読付論文を発表した。バルキーなシクロアルカン基を持つメタクリル酸との共重合体を主鎖とし、側鎖としてEO色素を有する、側鎖型EOポリマーを開発し、電気光学定数r33の緩和に対してTelcodia規格GR-468に基づいた信頼性試験(85℃、2000時間の環境テスト)を行い、実用レベルの耐熱性の高い電気光学ポリマーを開発した。また更に高温の105℃でも耐熱性を持つEOポリマーの開発を目指して、クロスリンク型のEOポリマーの合成に成功した。現在、耐熱性のテストを行なっており、良好な結果を得ている。 今後、赤外光(1.3, 1.5μm)での超高速応答が可能な新規な耐熱性・熱安定性を有する有機電気光学(EO)ポリマーだけでなく、近赤外(~800nm(生体透過波長域))、可視光の波長域における、MHz程度の応答周波数をもつ、有機半導体への電荷注入による新規な屈折率変調の動作確認等も進めていく必要があるが、全体としてはおおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
赤外光(1.3, 1.5μm)での超高速応答が可能な新規な耐熱性・熱安定性を有する有機電気光学ポリマーに関しては、OH基を2つ有する電気光学色素に、ベースポリマーをクロスリンクさせるように反応させることで、ガラス転移温度Tgが高く、電気光学効果が大きく、更に熱緩和が小さい実用的な電気光学ポリマーの開発を行う。105℃の高温で2000時間以上の耐熱性を持つクロスリンク型の電気光学ポリマーの開発を行う。 近赤外(~800nm(生体透過波長域))、可視光の波長域における、MHz程度の応答周波数を有し、有機半導体材料への電荷注入による新規な屈折率変調動作の確認のため、まず有機半導体の材料選定、動作確認を行なうための測定系の構築を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費の購入の残額として、小額ではあるが当該助成金(B-A)72円が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費の使途としては、電気光学ポリマーのポーリングのためのメッシュ型コロナポーリング装置の購入を計画している。当該助成金(B-A)72円は、実験と関連した小額消耗品の購入を計画している。
|