研究課題
機械的エネルギーと電気的エネルギーを変換できる圧電体は,我々の生活に広く応用されている。より高効率の圧電素子の開発には,圧電定数が大きく実用温度範囲が広い(強誘電相転移温度TCが高い)圧電体材料の開発が不可欠である。圧電性を特徴づける電気的な測定量である圧電定数や誘電率は温度により変化する。一般の強誘電体ではこれらの量はTCでピークをもち同時に結晶構造の対称性が変化するが,リラクサーのような物質ではピークを示す温度とTCは一致しないことが知られている。従来,電気的な測定量と結晶構造の情報は別々に測定されている。このような方法は必ずしも効率的ではないだけでなく,電気的特性と結晶構造との対応を一対一で明らかにする方法とは言いがたい。また,実際に電場が印加されマクロに材料が変形している状態の結晶構造はあまり理解されていないことから,圧電性のミクロな発現機構にも不明な点が多い。本研究では,圧電性の発現機構を理解し,より高効率の圧電材料を推進するため,誘電率と結晶構造の温度変化を同時測定するための放射光粉末回折実験の方法を検討している。2018年度には、チタン酸バリウムをベースとした固溶体圧電材料を作成し、誘電率測定、歪み測定、放射光回折実験による温度-濃度相図の決定と結晶構造解析を行った。さらに、電極が取り付けられた厚み0.5mm程度の試料に電場を印加しながら放射光回折データを取得し、マクロ歪みとミクロ歪みとの関係を考察した。放射光回折実験によりintrinsicな格子歪みの測定を行うことができた。一方、誘電率測定については温度変化の方法にまだ改良の余地があり、本科研費終了後にもアップグレードを行う予定である。その他、この研究と関連して、材料合成中のその場構造計測のシステムを調え、固相反応合成や水熱合成の最中に時々刻々変化する回折パターンの測定方法の検討を行った。
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すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Ceramics International
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