研究課題/領域番号 |
16K04955
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
渋谷 圭介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00564949)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 二酸化バナジウム / シリコン導波路 / 光スイッチ |
研究実績の概要 |
高度情報化社会の進展により通信機器の消費電力が増加の一途を辿っており、今後もIT機器やネットワークシステムの消費電力量が大幅に増加することが懸念されている。この課題を解決するため、シリコン導波路型を始めとした光スイッチの研究開発が進んでいる。しかしながら、従来型の干渉計や共振器を用いた光スイッチでは、電気スイッチに匹敵するような高集積化を達成することは原理的に困難である。そこで本研究では、金属‐絶縁体転移を示す材料をシリコン導波路に組み込んだ超小型光デバイスを作製し、革新的な光スイッチ機能を創出する。当該年度では以下の項目について研究を行った。 1. SOI(Silicon on Insulator)ウェハから、フォトリソグラフィーと反応性イオンエッチングによりシリコンコアを形成した後、CVD(化学気相成長)法によりSiO2をクラッド層として堆積させ、シリコン導波路を作製した。BHF(バッファードフッ酸)を用いたウェットエッチングにより開口部のSiO2を除去し、金属-絶縁体転移を示すVO2薄膜をPLD(パルスレーザー堆積)法により成長させ、導波路型光スイッチを作製した。デバイスサイズは3-8umとした。 2. 作製した光スイッチの積層構造をFIB(集束イオンビーム)で加工した後、TEM(透過型電子顕微鏡)により断面観察した。設計通りの導波路構造になっていることを確認した。 3. ASE(自然放出光)光源を用いたCバンド帯(1530-1565 nm)での伝搬損失測定を行った。作製した光導波路が、良好な光スイッチ機能を示すことを実証した。消光比は30dBを上回ることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標である消光比20dB以上の光スイッチ機能の実証に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
作製した光スイッチの評価を進め、動作速度などを検証する。また、得られた知見を基にしてデバイス構造の最適化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)計画の一部に変更が生じたため。 (使用計画)シリコン導波路の加工・評価費用に充てる予定である。
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