研究課題/領域番号 |
16K04970
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
吉川 宣一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00282335)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ホログラフィ / 応用光学 / 光計測 / 計測システム / 画像処理 |
研究実績の概要 |
一般化位相シフト法を用いる自己相関ディジタルホログラフィシステムの基本設計を行った.本研究では任意の位相シフト量を用いる一般化位相シフト法と連続的な干渉縞の記録を行う連続フリンジスキャンを組み合わせて用いる.長時間計測を行うために周期信号による制御が必要になる.まず移動ステージを使う位相シフト方式を検討した.適切な位相シフトを行うために移動ステージの移動,停止,待機を組み合わせた周期信号を用いて位相シフトスケジュールを設計した.これにより長時間の位相シフト法を行うことが可能になった. 計測システムに液晶空間光変調器を組み込むためにその位相変調特性を調べた.静止画表示を連続的に表示して擬似的な連続位相変調を行った.変調速度はコンピュータから出力される画像信号に依存することから,実行可能な条件を調べた. 一般化位相シフト法として,フレネル回折場の位相ランダム性を利用する統計手法を用いる.統計手法は位相ランダム条件が対象物体に依存する性質がある.そこで新たに正規化された干渉縞を用いて一般化位相シフト法を行う正規化法の適用を検討した.正規化法は一般に周期性を持つ干渉縞に対して用いられているが,散乱物体の干渉縞に対してはほとんど適用されていない.これは正規化法で要求されるノルム近似条件の成立が不明になるからである.本研究では統計手法で用いられる位相ランダム条件を用いてノルム近似条件が成立することを示した.これによりホログラフィにおいても正規化法を用いることが可能になった.今後は正規化法による一般化位相シフト法も行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移動ステージを使う位相シフト方式の自己相関ディジタルホログラフィシステムを構築した.適切な位相シフトを行うために移動ステージの移動,停止,待機を組み合わせた周期信号を用いて位相シフトスケジュールを設計した.液晶空間光変調器の位相変調特性を調べた.静止画表示を連続的に表示して擬似的な連続位相変調を行うための実行可能な条件を調べた. 一般化位相シフト法として,フレネル回折場の位相ランダム性を利用する統計手法に加えて,正規化された干渉縞を用いて一般化位相シフト法を行う正規化法の適用を検討した.統計手法で用いられる位相ランダム条件を用いてノルム近似条件が成立することを示し,ホログラフィの場合でも正規化法を用いることができることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
移動ステージ方式を用いる計測システムに空間光変調器を別ラインで組み込むことを行う.対象物体としてテストチャートなどを用いて評価しているが今後は微小物体の計測を中心に行う.自己相関ディジタルホログラフィでつくられる低コントラスト干渉縞に対するシミュレーションを行い最適な条件を調べ,干渉縞のコントラストの向上をさらに検討する.正規化法を自己相関ディジタルホログラフィに導入する.
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