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テラヘルツ波発生時に励起光吸収に伴う温度上昇と熱応力によって結晶内に誘起される二次関数的な屈折率変化すなわち局所的なレンズ効果を利用して、非線形光学結晶中のレーザー照射耐性について定量評価することを、本課題の目的とした。
テラヘルツ波発生用の非線形光学素子として有望である有機非線形光学結晶は、分子間の水素結合からなるため、結晶欠陥・歪みが入りやすくレーザー照射耐性が低い。そのため、その潜在的に有する高い非線形性を十分に活用することが難しく、テラヘルツ波発生の高出力化が課題となっている。結晶欠陥・歪みなど、具体的な破壊要因を特定できない既存の破壊検査では、結晶品質を客観的に評価して結晶育成技術の改善にフィードバックすることは難しい。本手法では、励起光と同軸に入射したプローブ光の焦点位置から局所的な屈折率変化を測定しており、非接触・非破壊に加えテラヘルツ波を発生しながら計測できる利点がある。
試料に、有機非線形光学結晶DASTおよびOH1、さらに標準試料としてNDガラスフィルターによる測定を行い、焦点距離変化から試料内での局所的な屈折率変化の算出に成功した。それぞれの試料におけるレーザー損傷値を相関が認められたことから、熱レンズ効果における非破壊検査の可能性を示すことに成功した。比熱・熱伝導率等の物性値と比較検討を行う事で、局所的な屈折率変化から非線形光学結晶のレーザー照射耐性について定量評価することが今後の課題である。
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