研究課題/領域番号 |
16K04980
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
興 雄司 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10243908)
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研究分担者 |
吉岡 宏晃 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (20706882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロディスク / アルブミン / 光センサー / プリンタブル / レーザー |
研究実績の概要 |
これまでマイクロディスク化に成功したTZ-001ハイパープラン値ポリマーによるマイクロディスクにレーザー色素をドープし、水中で動作させることによりセンサー利用のための知見を明らかにする研究を行った。水中暴露によるレーザー発振の劣化はわずかながら確認され、WGM共振条件はわずかに波長が低波長にシフトする特性が見られた。しかしながら、この変化は直線的で有り、センサーディスク表面への蛋白(牛アルブミン)の吸着などで観測された非線形的な変化との区別は可能であることが明らかになった。 TZ-001ハイパーブランチポリマー表面への牛アルブミンの吸着は10minx10ppmで有り、アルブミンの吸着後、ビオチンがアルブミン層に選択的に吸着し、その様子がWGMのスペクトル変化として現れること、さらにアビジンへのの特異吸着と、WGMスペクトル変化も確認できた。同時に、シミュレーションによるエバネッセント光の張りだしと屈折率層との相互採用のマッチングから、これらの吸着層の厚さは12-20nm程度に過ぎず、単分子層ではないものの、薄く全域を覆うことができていると推測された。 作成されたディスクの特徴としてはWGMモードの共振光はナイフエッジ上のマイクロディスクの縁からやや内側に入り込んでいると考えられ、こうした特殊な形状においてのWGMモードの動向が明らかになったことで、センサー応用のために必要なディスクのダイナミクスを明にした。 しかしながら、ディスク屈折率が大きいこと、ディスク直径を小さくする制御が未だ十分にできていないことから、センサーの感度は未だ不十分である。次年度は低屈折率材料でのマイクロディスクの作製に切り替える必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のディスクにおいて特徴的であるハイパーブランチポリマーの表面蛋白修飾などについて、アルブミン吸着が可能であることを明らかにすることができた。これは当初の予定通りの進展である。予定していた計算も行うことができたため、直接観測できなかった吸着の様子も間接的に知ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
屈折率の問題から、平成29年度はいかに新しい低屈折材料でマイクロディスクが作成できるかと言うことが最大の課題となる。推測される問題としては、当初候補として考えていた、FZ-001が、平成28年度の実験の過程で、アルブミン吸着率などが低いことが副産物として判明してきたことである。FZ-001でまずは研究を行うが、新しい、低屈折材料でのディスク作製を試みる必要があることが予想される。これはアプローチとして、新規の要素が多いため、FZ-001の利用については早く利用の可否を行い、新材料にきりかえる際には効率の良い探索を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
雑費の最終調整額が予想額より低かったためわずかな残額を生じた
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次年度使用額の使用計画 |
雑費残額については速やかに調整し、適正利用をこころがける。
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