研究課題/領域番号 |
16K04985
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
緒方 智壽子 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (60288777)
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研究分担者 |
谷田 純 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00183070)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周疾患 / 歯肉形状 / 画像計測 / 複眼撮像システム / ホログラム光学素子 |
研究実績の概要 |
本研究は、歯周疾患における治療前後の歯肉状態や形態を、患者への負担軽減をしつつ、多面的データに基づいた診断を可能にする口腔計測システムの開発を目的とする。複眼撮像システムTOMBOをベースとして、3次元形状計測、分光情報計測、立体表示用画像取得、アクティプ計測用パターン投影などの機能を集積化し、臨床利用に適したシステムを構築する。歯周治療臨床での評価として、治療ステップごとの歯肉状態・形態変化を計測し、治療指針への還元をめざす。 本研究で開発した複眼口腔計測システムは、デンタルミラー型形状をもち、3次元形状計測用に波長405nmを割り当て、それ以外の波長域により、形状以外の歯周情報(生体色素、歯槽粘膜境推定、3次元表示用)を取得する。これまでに、ステレオ法による三次元形状計測、RGB画像からの生体色素分布推定を行い、散乱特性の利用による付着歯肉と歯槽粘膜の分類の可能性を見出した。 本年度は、主に昨年度開発した複眼口腔計測システムの改良を行い、システムの高性能化を進めた。405nm光源の強度不足のため、ストライプパターン投影による形状計測が実施できなかったため、ストライプパターン生成用のホログラム光学素子を導入し、その問題解決を図った。また、狭帯域波長フィルター装着時の撮影感度を低下を補償するため、大型のイメージセンサによるシステムを構築した。これらにより、400nmから1000nmまでの広い波長範囲について多波長の画像を同時に計測して,酸素化ヘモグロビン,脱酸素化ヘモグロビン,グリコーゲン,メラニンなどの複数の生体色素濃度分布を一度に撮影から推定することで,計測のスループットを向上して被験者の負担を軽減する目処がたった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に実施できなかった405nm光源によるストライプ投影による形状計測を行い、予定通り複眼口腔計測システムの開発を実施できた。当初、平成29年度に臨床データ収集を行う予定としていたが、臨床現場での効率的な計測を行うため、平成30年度に予定していた計測手続きの簡単化との実施順序を入れ替えた。その結果、研究計画全体としては、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
開発した複眼口腔計測システムにより、臨床データの収集を開始する。健全歯肉と病的歯肉の観察例を蓄積するため、複数の被験者に対して計測を行い、得られた計測データに各種統計処理を適用し、提案手法の有用性を検証する。計算イメージングにもとづく画像ベース計測技術の展開について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)複眼口腔計測システム開発の順序を入れ替えたため、当初予定していた臨床データ収集を次年度送りにしたことによる。 (使用計画)臨床データ収集で予想されるシステム改良にかかる費用に未使用額を充当する。
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