研究課題
周期構造を持つ金属板の上を電子バンチが通過するとき、テラヘルツ波が放射される。これはスミス・パーセル放射として知られている。申請者らは、金属の周期構造体と誘電体や電気新材料と呼ばれるグラフェンなどの組み合わせにより構成された複合放射構造体を研究対象として、スミス・パーセル放射とは別に、強いテラヘルツ波発生を目標として研究してきた。過去二年間、グラフェンによる表面プラズモンポラリトンの励起原理、誘電体を用いたグラフェンプラズモンポラリトンから放射電磁モードへの転換過程、グラフェンプラズモンポラリトンと周期構造体表面電磁波とのカップリング効果、誘電体と金属周期スリットとの結合により発生した新たな放射物理現象などを研究した。これらの研究結果を踏まえ、従来に考えていない新型な放射物理を基づいた複合放射構造体を設計し、最終年度に、実験を行った。複合放射構造体における構築した電磁方程式を基にして様々なパラメータを用いて大量な理論計算を行った。理論予測、放射構造体製作の難易度及び検出器感度の帯域を総合的に検討すると、金属スリットの周期長、溝幅、深さmをそれぞれ選出し、基板の材料をシリコンとすることを決めた。変形しにくいことや加工しやすことなどの考えにより、金属周期スリットの材料はステンレス鋼を選択し、レーザー加工の方法で周期スリットを製作し、金属周期スリットをシリコンプリズムの表面に固定して複合放射構造体を完成した。既存の電子線発生装置を活用して検証実験を実施した。フェムト秒レーザーパルスを陰極に照射してから発生した電子バンチにより新型電磁放射を励起し、その電磁放射はボロメータを検出器として構成された計測系で検出した。これらの成果を活用すると、小型化、高効率テラヘルツ波放射源の開発が期待できる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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