研究課題/領域番号 |
16K04989
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
長谷川 登 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主幹研究員(定常) (50360409)
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研究分担者 |
錦野 将元 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, グループリーダー(定常) (70370450)
石野 雅彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主幹研究員(定常) (80360410)
難波 愼一 広島大学, 工学研究科, 教授 (00343294)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザー / アブレーション / 時間分解計測 / 軟X線レーザー / 軟X線顕微鏡 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、軟X線レーザーをプローブ光とする干渉顕微鏡により、フェムト秒レーザーアブレーションダイナミクスの観測を複数の金属サンプルについて行った。 サンプル上でガウス分布の照射強度を有するフェムト秒レーザーを照射したサンプル表面の形状の変化を時間空間分解計測することで、アブレーションダイナミクスの照射強度に対する依存性を観測した。 その結果、照射強度が特定の条件の場合に、アブレーションが特異的に早く進行する現象の観測に成功した。通常のアブレーションではレーザーによりエネルギーを与えられた原子が熱的に移動するために必要な時間スケール(数十から数百ピコ秒)で形状が変化するが、本現象ではそれよりも早く表面の破砕が行われている。しかも、本現象は最終的にクレーターの縁が形成される領域近傍もしくはその外側、つまりアブレーション閾値もしくはそれ以下の照射強度において観測されている。これは、照射強度が低いにも関わらず照射強度が高い領域よりもアブレーションが早く進行する条件が存在することを示している。本現象は複数の材質において観測されていることから、レーザーの照射条件を制御することにより、効率の高いアブレーションの実現が期待される。加えて、本現象はアブレーションメカニズムが照射強度に対して不連続に変化することを示しており、シミュレーションとの比較を行うことでアブレーションメカニズムの解明が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、軟X線干渉顕微鏡により、フェムト秒レーザーアブレーション過程における特異的な照射強度依存性の観測に成功しており、おおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
軟X線干渉顕微鏡の改良をすることで、今までに観測が不可能であった半導体等のアブレーション現象の観測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
軟X線干渉顕微鏡の仕様・設計を見直すことにより、高額な物品の購入を必要とせずに改良を行うことが可能となったため。
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