研究課題/領域番号 |
16K04990
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
白井 智宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 上級主任研究員 (20357239)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コヒーレンス理論 / 強度干渉 / 断層イメージング / OCT / 量子OCT / 波面制御 |
研究実績の概要 |
1.強度干渉に基づく断層イメージング技術の高度化 当該断層イメージング技術本来の特徴であるマイケルソン干渉計とビームスプリッタ(ホン・オウ・マンデル干渉計)の組み合わせを2つの光ファイバカプラで実現し、さらに1台のエリアスキャンCCDカメラを利用することで、演算に必要な2つのスペクトルを同時に取得する新しい光学系を構築した。また、この新しい光学系により、より安定した断層イメージングが可能であることを実験的に検証した。さらに、当該断層イメージング技術で問題となっていた不要な像(アーティファクト)を低減するために、スペクトル取得用の検出器をスペクトルの分散方向に若干シフトする手法を、2つのスペクトルを時系列に取得するこれまでの光学系と上述の新しい光学系に適用し、いずれの場合においても有効に機能することを確認した。 2.多重散乱光を補正する波面制御技術の高度化 多重散乱媒質を透過した光波のフォーカシングに必要な入射波面の最適化について、その高速化を目指した直交基底の選択および解析アルゴリズムの検討を行った。また、上述の断層イメージング技術と当該フォーカシング技術の融合に向けて、入射波面の最適化に必要な空間光位相変調器に要求される仕様を整理し、機種選定のための市場調査を行った。 3.強度干渉法の新しい応用とその体系化 強度干渉法の新しい応用として、その原理が干渉計測における位相差増幅に利用できることを新たに見出し、その有効性を理論と検証実験により明らかにした。また、この位相差増幅技術および上述の断層イメージング技術を含む強度干渉法の新しい側面を、歴史的背景と世界的な研究動向を踏まえて体系化し、解説論文としてまとめ出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい発想により当初予定していなかった研究を進め、その成果を学会発表および論文として公表することができたが、それに伴い当初の研究計画の一部にやや遅れが生じた。その一方で、次年度に予定していた研究内容の一部を先行して実施した部分もあり、全般的にはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の前半において、やや遅れが生じている波面制御関連技術の研究を重点的に展開する。それ以外は当初の計画通りに研究を推進することで、次年度末までには全体的に計画に沿った研究を展開できるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、本年度に波面制御関連技術の研究に必要な装置を購入する予定であったが、同研究の進捗にやや遅れが生じたことにより、その購入時期を次年度に変更する必要があると判断した。それに伴い、当該装置の購入費用に相当する次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度早々に、当該装置の購入手続きを開始する。それ以外は、当初の研究計画に沿って助成金を使用する。
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