研究課題
近年、多元素をターゲットとする薄膜の需要が増加している。例えば燃料電池は、地球温暖化物質を排出する事無く、かつ天候などの条件に左右されない安定した発電が可能であるため注目を集めているが、電極や電解質が多元素であるために多ターゲットプロセスが必要であるなどのコスト面に問題があった。これを克服するために、粉体をターゲットとするプラズマプロセス、特にパルスレーザデポジション法で薄膜を作製する新しい手法を考案し、薄膜作製を試みた。平成30年度は、前年度までに作製した「粉体ターゲットを用いたPLD薄膜作製装置」を用いて、薄膜作製を行った。特に紫外、可視、赤外のパルスレーザによる薄膜作製と性質の比較を行った。レーザはNd:YAGで波長は355nm(第3高調波)、532nm(第2高調波)、1064nm(基本波)、レーザフルエンスは3J/cm2以下になる様に調整した。また、基底真空は5×10-3Pa以下、ガスはアルゴン(Ar)と酸素(02)の混合ガスを使用した。結果から、次のことが判った。1)どの波長でも薄膜作製を行うことができたが、成膜速度は基本波、第2高調波、第3高調波の順に低くなることが判った。2)結晶性も波長によって違いが見られたが、粉体の性質との定量的な相関は得られなかった。3)粉体の特性(融点や電気伝導性、直径や形状)によっても作製される薄膜の性質に差が見られた。4)粉体を混合させた場合、粉体が酸化物であり、そのサイズが同程度であれば、作製される薄膜の組成が制御できる事が判った。5) 粉体を混合させた場合、粉体酸化物と金属等その性質が異なる場合は、作製される薄膜の組成制御が困難な場合がある事が判った。6)作製した薄膜の空間分布から、2次元分布をもつ薄膜の作成が可能であることと、その空間分布はレーザ照射半径に強く依存することがわかった。
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