本研究の最終的な目的は、常磁性体低融点金属を高密度プラズマでスパッタリングし、ターゲット材料のスパッタリング速度>1um/minを実現するプラズマ源の基盤技術を構築することである。本研究では、常磁性体低融点金属の高速スパッタリングのために、E||Bの電磁場で高密度イオン流束を効率よく金属ターゲットに引き込む手法を提案している。
平成30年度の実施計画は、前年度までに開発したスパッタリングシステムを用いて、具体的応用先と定めるGaN成膜に最適なプロセス条件を謳歌的に見い出すためのパラメータサーベイを行うことであった。
本年度の成果は以下である。プロセスガス圧力、Ar-N2ガス割合、Gaターゲットに流入する窒素イオン電流、ターゲット基盤間距離をパラメータとして直交表実験を実施し、最適なパラメータの組み合わせを評価した結果、本装置を用いると非加熱ガラス基板上にGaN(002)の配向膜が成膜可能であることを見い出した。配向の程度を評価するためにロッキングカーブを測定したところ、半値全幅 3deg. 程度までを得ることができた。 また付加的な成果として、本装置を用いると強磁性体金属の高速スパッタリングが可能であることも示した。
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