本研究の“光電子温度計”は、表面数原子層のみから放出される電子を検出するため、表面局在原子の温度センシング技術として、既存の温度センサでは困難とされる薄膜・ナノ表面での熱現象の解析を可能とする。また、目盛り校正の不要な絶対温度計測技術(一次温度計)となる。さらに、熱輻射を利用する赤外放射温度計が-30℃付近を実用上の測定下限としているのに対し、極低温域を含むより広範囲の非接触温度測定が可能である。そして、他の温度計測のように一つの測定値(電気抵抗値など)から温度値を決定するのではなく、スペクトルを構成する多数のデータ群から一つの温度値を決定するため、温度精度の向上に極めて優位である。
|