• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

りん光材料の磁性変化を利用した新原理によるレーザーマニピュレーション技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K05006
研究機関日本工業大学

研究代表者

池添 泰弘  日本工業大学, 工学部, 准教授 (70334315)

研究分担者 大澤 正久  日本工業大学, 工学部, 教授 (80280717)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード非接触マニピュレーション / 磁場 / 光 / 燐光材料 / 磁気アルキメデス浮上
研究実績の概要

平成28年度は、当初の予定通り、アントラセンを用いてレーザーマニピュレーション技術の開発に取り組んだ。ここでは、塩化マンガンの水溶液中を媒体として、その中でアントラセンの磁気浮上状態を実現させた。
磁場分布計算ソフトを用いて、永久磁石周辺の磁場分布を正確に求めたところ、興味深いことに、二つの磁石を少し離した状態で引き合うような配置にすることで、その隙間の空間では、非常に大きな磁場勾配が発生し、しかも、その大きさが、局所的には超電導磁石のそれに相当することが分かった。
実験では、磁気浮上状態にあるアントラセンに対して、365 nmのLED光を照射して、非接触マニピュレーションを試みた。その結果、500 T*T/m程度の磁気力場(BdB/dz)が存在するところで、毎分0.1 mm 程度の運動を観測することができた。且つ、光照射をやめると、運動が止まるような様子も観測された。理想的には完全に可逆的な現象を観測することが目的であったが、光照射の前の位置に戻る様子は観測されなかったことから、おそらく、光照射によって、単に3重項状態が出てきただけでなく不可逆な化学反応が生じてしまっていることが予想される。今後は、不可逆な変化の起こらない系での実験をデザインする予定である。
また、購入した分光光度計で、数種類の夜光塗料材料の燐光スペクトルを得た。こちらは、寿命が長く、化学的にも安定と考えられるため、今後の実験への利用が期待できる。
平成28年度は、これらの結果を応用物理学会で2件報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は、当初の予定通り、アントラセンを用いてレーザーマニピュレーション技術の開発に取り組んでおり、塩化マンガンの水溶液中を媒体として、その中で非接触マニピュレーションの対象物質であるアントラセンの磁気浮上状態も実現できている。
また、磁場分布計算ソフトを用いて、永久磁石周辺の磁場分布を正確に求めたところ、二つの磁石を少し離した状態で引き合うような配置にした場合、その隙間の空間では、非常に大きな磁場勾配が発生し、しかも、その大きさが、局所的には超電導磁石のそれに相当することが分かった。この結果は、本来ならば超電導磁石を使わないと実現できないような系でも、永久磁石で実験可能となる可能性を示唆するもので、今後の研究を進めるうえで、非常に有益な情報を得ることができた。
実験では、磁気浮上状態にあるアントラセンに対して、365 nmのLED光を照射して、非接触マニピュレーションを試みた結果、500 T*T/m程度の磁気力場(BdB/dz)が存在するところで、毎分0.1 mm 程度の運動を観測することができた。これは、大きな進展である。また、光照射をやめると、運動が止まるような様子も観測された。理想的には完全に可逆的な現象を観測することが目的であったが、光照射の前の位置に戻る様子は観測されなかったことから、おそらく、光照射によって、単に3重項状態が出てきただけでなく不可逆な化学反応が生じてしまっていることが予想される。ただし、当初の目的である「光を用いて非接触で物体を操作する」という目的は達成できている。
また、購入した分光光度計で、数種類の夜光塗料材料の燐光スペクトルを得た。こちらは、寿命が長く、化学的にも安定と考えられるため、今後の実験への利用が期待できる。
平成28年度は、これらの結果を応用物理学会で2件報告しており、以上のことから順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

平成28年度、実験系の中に、不可逆な反応が観測されたため、ほかの物質を用いて実験を行う。その第一候補が夜光塗料材料で、これらは無機物質であり、光による化学反応はほとんど起こらず、可逆的な反応が期待できる。
また、平成29年度は、複数の物体を浮上させて、その中から一つだけを動かすことにも挑戦する。こちらは、シンプルに、光に反応する物質と反応しない物質を混ぜることで実現できると予想されるが、平成28年度の実験から、動きがあまり早くないことが分かっているため、注意深い観測が必要だと予想される。
これらの結果は、学会で報告するとともに、論文にまとめて公表する。

次年度使用額が生じた理由

研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行した。

次年度使用額の使用計画

研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初の予定通り研究を進めていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [学会発表] 磁場と光を利用した非接触シャフトフリーモーターの開発2017

    • 著者名/発表者名
      種部千遥, 岡野佑亮, 池添泰弘
    • 学会等名
      第64回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2017-03-14
  • [学会発表] 磁場と光を用いた非接触2次元コンベア2017

    • 著者名/発表者名
      岡野佑亮、種部千遥、廣田 憲之、池添泰弘
    • 学会等名
      第64回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2017-03-14
  • [備考] 日本工業大学 研究者情報

    • URL

      http://nit-gyoseki.nit.ac.jp/Main.php?action=top&type=form

  • [備考] 池添研究室

    • URL

      http://ikezoelab.sakura.ne.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi