研究課題/領域番号 |
16K05007
|
研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤本 晶 沼津工業高等専門学校, その他部局等, 校長 (10238610)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ガスセンサ / 分子軌道法 / クラスター計算 / アルコール |
研究実績の概要 |
半導体ガスセンサの代表的な材料であるSnO2のクラスターを作成し、クラスターと被検ガス分子との相互作用を分子軌道計算で調べてきた。これまではSn原子が54個の比較的小さなクラスターを用いていたが、平成28年度は計算に用いるクラスターのサイズを段階的に大きくして、計算結果のクラスターサイズ依存性を求めて、現実に近いSnO2の再現に必要なクラスターサイズを求めることを目指した。 作成した大きなサイズのクラスター用いて、メタノールおよびエタノール分子を接近させた際の分子軌道計算を行ない、吸着位置の特定等を試みてきたが、現在までクラスターサイズによる明確な傾向は得られていない。これはクラスターサイズの増加が計算時間の飛躍的な増加をもたらすために、クラスターサイズの変化の範囲を大きく取れていないことによると考える。 これを回避するために、今後は現状のクラスターに周期境界条件を適応して、小さなクラスターでも無限に広い二次元平面を持たせることのできる状況を作り、計算を試みる予定である。 また同様の手法でSnO2以外の材料でもセンサの可能性を検討している。平成28年度はSr-Ca-Cu-O系超伝導材料のクラスターを作成し、H2O分子との相互作用を分子軌道計算により求めた。その結果H2O分子はSr-Ca-Cu-Oの層間に入ることや、その入り方が面方位に依存する事を見出した。今後センサ材料としての可能性の検討を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クラスターサイズを大きくした結果、計算時間が大幅に増加するとともに、収束しない場合も多く発生する等、当初の予定通りではないが、概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在続けているSnO2のクラスターを用いた計算を続けるとともに、別途Sr-Ca-Cu-O系超伝導材料とH2Oとの相互作用についても計算を進めて、センサとしての可能性を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を国際会議で発表予定であったが、研究開始初年度ということもあり、発表にはもう少しデータの補強が必要だと判断し、参加を取りやめたため余剰金が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
現在得られたデータを整理し、ACCS(アジア化学センサ国際会議)2017で発表すべく投稿中である。またIMCS(化学センサ国際会議)への投稿も検討中であり、前年度使用できなかった旅費を使用予定である。
|