研究課題
インビーム・メスバウアー実験を、放医研重粒子ガン治療装置HIMACの二次ビームコースSB2で行なった。58Feで富化したフェロセンをECRイオン源でイオン化し、LINAC加速器によって58Feビームを前段加速して、これをシンクロトロンに入射して核子あたり500 MeVまで再加速後、Be標的に照射して、入射核破砕反応によりメスバウアープローブ核57Mnを得た。58Feから陽子1個が剥ぎ取られた短寿命核57Mn(半減期 1.45分)を、二段の質量分析器を用いて電磁的に他の破砕片から分離して最適化した。57Mnをインビーム・メスバウアー分光スペクトロメータに導き、Pb板とAl板のエネルギー減速材を通過させ、ガスマトリックス試料に直接イオン注入した。プローブ核の停止位置は、くさび形アクリル板で微調整した。メスバウアーガンマ線の検出は、ガスフロー型平行平板電子なだれ型検出器(PPAC)を用いた。PPACをメスバウアー駆動装置に取り付け、57Mnのイオン注入をしながらメスバウアースペクトルをオンライン測定した。実験で得られたスペクトルのパラメータ(異性体シフト・四極分裂・線幅・共鳴面積強度)と密度関数計算の結果と合わせて、固体窒素中の孤立Fe原子の電子状態と化学状態を考察した。30年度は、ヘリウム循環型クライオスタットに保持した代表的な水素化合物である水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)と氷を試料にインビーム・メスバウアー分光実験を行なった。並行して、最終目的である固体水素を作製するためのガスラインの設計や試料セルと熱シールドの作製を行なった。安全性の確認を確かめた後に、31年7月のビームタイムで固体水素実験を遂行する。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Hyperfine Interact.
巻: 238 ページ: 1-9
10.1007/s10751-018-1494-2
巻: 238 ページ: 1-10
10.1007/s10751-018-1500-8