研究課題/領域番号 |
16K05013
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
岩山 勉 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70223435)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シリコンナノ結晶 / イオン注入 / レーザーアブレーション / 可視発光 / 機能性デバイス |
研究実績の概要 |
シリコンは電子デバイスとしては広く利用されており、極めて有用な材料であるが、発光デバイスとしては殆ど利用されていない。本研究はこの様なシリコンをナノ結晶化することで、モノリシック化された機能性デバイスとして応用することを、イオン・レーザービーム融合したプロセスにより達成しようとするものである。具体的には、イオン注入により過飽和固溶体を形成し、急速加熱、エキシマUV・レーザー光照射などを組み合わせた手法で、プロセスの低温化と発光強度増強の可能性を探ることを主な目的としている。 二酸化シリコンにシリコンをイオン注入し、高温熱処理することで、シリコンナノ結晶が形成され、それとともに可視発光(おもに赤色)が観測される。発光効率(強度)の向上、発光波長の可変性、プロセスの低温化は実用的なデバイスを開発する上で重要な問題となる。私たちの提案している発光モデルでは、発光波長、強度はシリコン結晶のサイズそのものだけに依存しているわけではなく、その局所構造、並びにナノ結晶間の距離(相互作用)などが影響を及ぼしていると考えている。すなわち、発光強度はナノシリコン結晶の数に比例し、その数密度の変化に伴い発光波長も増強できることが期待される。 前年度の研究では、アブレーションの諸条件(ガス圧、レーザー強度、基板温度等)の発光への影響を詳細に調べた。今年度の研究では、短波長のエキシマ光の照射や急速加熱の発光に及ぼす影響を調べた。さらに、国際会議での招待講演を2件依頼され、本研究の成果を中心として、講演を行った。しかしながら、勤務先大学で副学長の職にあり、大学院改革のための書類作成とそのための学内対応等に追われ多忙であったため、当初設定した、エフォートを今年度は確保することができなかった。そのため、1年間の期間延長申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イオン注入のみではなく、酸素雰囲気中でレーザーアブレーション(PLD)法により作製された試料からも類似の発光が確認できることが明らかになった。また、発光強度に及ぼす諸条件を変化させ、発光強度を最適化するための条件をほぼ特定することができた。これらをもとに、イオン注入の条件の詳細を決定のための基礎データも得ることもできた。さらに、作製後の試料に紫外エキシマ光を照射し、急速加熱することで発光強度が増強できることも確認できた。今年度のこれらの研究で、発光強度、発光波長等を決定するためのキーファクターが決定されつつあり、次年度以降実施する予定の研究のための準備が整った。研究遅延の理由が解消したため、最終年度は研究時間を確保することができる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに得られた研究結果を総合的に整理し、ナノシリコン結晶の実用的なデバイスを開発する上で重要な課題となる発光効率(強度)向上の方法、プロセスの低温化、発光波長の可変性などを詳細に検討する。特に、シリコン注入と光プロセスを組み合わせ、欠陥制御、析出、拡散、核生成・成長、結晶化プロセスを自在に制御することを次年度以降で試みる。また、今年度は研究成果を報告することはできなかったが、次年度は、成果を学術論文のみならず、国際会議の場でも発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)光検出等、発光測定装置の不具合が多く、マルチチャンネル分光器等を用いた新規の計測システムの構築を目指していたが、従前の測定結果との比較検討をする必要や、学内職務のため予定のエフォートを確保できなかったため、今年度はシステムの更新を行うことを断念した。エキシマランプヘッドについても、従前の強度で照射し、試料作製方法による差異を検討するため、ランプヘッドの購入(交換)は次年度とした。 (使用計画)前述の通り、過去の研究との継続性を重視したため、マルチチャンネル分光器、エキシマランプヘッド等の購入を先延ばししたが、種々のデータを蓄積することができたため、次年度にシステムの抜本的なバージョンアップを行い、研究を遂行する。また、試料作製のためのYAGレーザーについても、ランプ交換を含めたオーバーホールの必要があるためそれに対応する予定である。さらに、ガスセンサのヘッドも度々不調になることから、センサヘッドの交換も予定している。
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