研究課題/領域番号 |
16K05018
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
古田 雅一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40181458)
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研究分担者 |
坂元 仁 大阪府立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (40570560)
土戸 哲明 大阪府立大学, 研究推進機構, 客員教授 (50029295)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細菌芽胞 / Bacillus subtilis / 抗菌 / 精油 / 放射線照射 / 殺菌 / 加熱 / ストレス応答 |
研究実績の概要 |
細菌芽胞が殺菌ストレスにより損傷を受けると回復するために発芽及び発芽後増殖に要する時間が増大し、結果的に対数増殖期に入るまでの時間(誘導期)が増大する。今年度は抗菌性を持つ香辛料精油成分、carvacrol,thymolを添加した場合の,B. subtilis 芽胞の発芽について検討した。その結果、発芽誘導剤としてL-asparagine, D-glucose, D-fructose, K+の混合物(AGFK)を用いた場合は, carvacrolよりもthymolの方が低濃度で発芽誘導の阻害が見られ,互いに異性体の関係にある両者は発芽系に対する親和性が異なる可能性が示唆された。さらに発芽終了後の菌体に,thymol、加熱処理、ガンマ線照射を行い、その後の増殖パターンを比較したところ,thymolの添加濃度の増加に応じて発育遅延が増大した。更に,加熱処理を行ってから発芽させた芽胞を用いてthymolを含むTSB中で培養した場合,thymol単独処理時と比較して発育遅延が明確に増大した。これらの結果から,thymolが発芽後成長段階に作用していることに加え,加熱処理との複合によって相乗的な抑制効果が得られることが示された。一方,ガンマ線照射芽胞を用いて同様の実験を行った場合は,thymolとの複合処理による発育遅延がガンマ線照射による遅延に加算されることが分かったが、加熱で見られたような複合処理による相乗効果は確認できなかった。 以上より,carvacrolとthymolはB. subtilis芽胞の発芽を抑制する効果があり,特にthymolについては発芽後成長も抑制することが分かった。更に,芽胞の加熱処理においても発芽過程に抑制効果があることが見出され,これらを複合することで発育遅延が増大し,より高い抑制効果が得られる可能性を強く示すものであった。
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