研究実績の概要 |
平成30年度は最終年度であり、成果の公表に注力した。具体的には、X線顕微鏡国際会議(X-Ray Microscopy 2018@Canada)においてポスター発表をした。そのプロシーディングスが出版された(Y. Kagoshima & Y. Takayama, Microscopy and Microanalysis 24, Supplement S2 (Proceedings of Microscopy & Microanalysis 2018) August 2018 , pp. 280-281)。さらに、Y. Kagoshima & Y. Takayama, J. Synchrotron Rad. (2019). 26, 52-58が出版された。これはOpen Accessにて発表した。また、国内の学会では2019年1月の日本放射光学会年会で口頭発表した。 本研究で考案したInverse-phase composite zone plate (IP-CZP)の2つの特徴的なケースである、ZP-A(光軸方向の強度分布がピット構造で最も焦点深度の深いタイプ)とZP-B(光軸方向の強度分布がフラットで比較的焦点深度が深いタイプ)について、性能評価(光軸方向の強度分布、焦平面内動径方向の強度分布、その両方の波長依存性)をシミュレートした結果、X線エネルギーが10 keVで空間分解能を加工精度で決まる値の7%増しに抑えつつ焦点深度を約2倍にできる解を見つけることができたこと、X線エネルギーが8~12 keVの範囲でもこの性能が保たれることも確認したこと、等を発表した。 集光光学系の基本原理である空間分解能を損なわずに焦点深度を大きくできないことが、一定の厚さを有する実材料の分析を困難にしている。本研究はX線分析の実用性の向上に資するものである。
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