昨年度、設置した2軸のステージ・スキャン・システムの制御プログラムを構築し、このシステムの立ち上げを行った。その結果、1マイクロメートル以下の位置精度で再現性を得ることができ、測定位置を特定したXAFS測定が可能となった。また、一昨年度設置した光のスポットサイズを変化させることができるアパーチャー機能を有するスリットと組み合わせることにより、位置を特定した微小領域のXAFS測定装置を開発した。本実験では、構造制御を作成するために、機能性分子材料にモールドを押し付けるインプリントを用いた。インプリントした機能性分子材料:光反応性高分子液晶薄膜の分子配向性を評価するため、光のスポットサイズを変化させて、軟X線を用いた炭素K端のXAFS測定を行った。インプリントした光反応性高分子液晶薄膜は、スピンコート法により作成した光反応性高分子液晶薄膜に対し、ライン&スペースパターンをインプリントすることにより作成した。光のスポットサイズを変化させ、ライン&スペースパターン位置での分子配向性を評価し、光反応性高分子液晶中の分子が表面に平行に配向していることが示された。加えて、2軸のステージ・スキャン・システムによる2次元情報のほかに、検出深さが異なる3種類のXAFS同時測定(蛍光、全電子およびオージェ電子収量法)を行うことにより、機能性分子材料の分子配向性に関する3次元分布の取得が可能となり、インプリントにより構造制御された光反応性高分子液晶薄膜の分子配向性を評価した。
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