磁気対相関関数(磁気PDF)をシミュレートする方程式について、ゼロ散乱成分を考慮することによって新たな項が追加された方程式を導出した。さらに中性子回折データから磁気PDFを定量的に導出する方法を示した。実験から導出した標準試料の磁気PDFは方程式から計算される磁気PDFと一致しており、磁気PDFの方程式と導出方法が妥当であることが示された。またスピングラス物質の磁気PDFにおいて、先行研究で指摘された2種類の磁気構造の競合を観測した。本研究により磁気PDFを用いた定量的な局所磁気構造解析が可能になり、また短距離磁気相関に対してこの手法が有効であることが示されたといえる。
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