研究課題
タンデム加速器による三酸化モリブデンターゲットへの陽子ビーム照射により電子飛跡コンプトンカメラ(ETCC)撮像実験用にTc-95m及びTc-96の生成を行った、この際照射エネルギーを調整することにより、同時に生成される副生成核種を抑えたより良い線源作成を行うことが出来た。照射MoターゲットからTc同位体の分離精製の際に生じるモリブデン酸化物沈殿の再利用法を開発した。20%過酸化水素でモリブデン酸化物沈殿を溶解、風乾後に600℃に加熱処理を行うことにより再び照射に用いる三酸化モリブデンに変換することに成功した。得られた化合物はX線回折により三酸化モリブデンであることを確認した。陽子照射によって得たTc-95m、Tc-95を用いてコンプトンカメラの撮像実験を行った。Tc-95m、Tc-95は高いエネルギーのガンマ線を放出するためこれを用いてETCC(Electron Tracking Compton Camera)での撮像ができれば現状の薬剤をそのまま利用して精度の良い診断ができる。SPECTは高いエネルギーのガンマ線イメージングはできないがETCCは測定原理としてコンプトン散乱を使用するため高エネルギーガンマ線のイメージングが可能である。陽子照射によって生成したTc-95を含む錠剤状の三酸化モリブデンターゲットを撮像試料として水ファントム内に置きETCCよる撮像実験を行った。ETCCの前面に直径225mmの水ファントムを設置し, 水中にTc-95試料を置きそれぞれの位置で2時間から12時間のETCC測定を行った。X線CT画像とETCC画像を組み合わせた画像を得ることが出来た。本研究を通してテクネチウム同位体とトレーサーとしたコンプトンカメラによる撮像法は新しい核医学診断法として活用できる可能性を示した。
すべて 2018
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