研究課題
基盤研究(C)
本研究では、中性子およびX線回折法を相補的に用いた「X-N解析法」による有機結晶の電子密度可視化をJ-PARCのTOF単結晶中性子回折計SENJUを用いて実現した。また、実際の光機能性有機結晶である2-(2'-hydroxyphenyl)benzimidazoleの2種類の多形についてX線および中性子構造解析に量子化学計算、分光測定を組み合わせた分析を行うことで、結晶中の分子間および分子内水素結合の協奏的な働きによって多形間の蛍光挙動に違いが生じることを明らかにした。
量子ビーム科学
本研究では補正用データの測定法を改良することで、TOF単結晶中性子回折計であるSENJUで得られる回折データが有機結晶のX-N構造解析に十分使えることを実証することができた。これは、実際の機能性有機結晶の研究に対し、原子核の観察だけでなく電子密度の観察という価値を単結晶中性子回折法に付加したものである。また、一連の光機能性結晶の研究は、今後光機能性を高めた誘導体結晶をを開発するうえで重要な知見と言える。