研究課題
平成30年度は、レーザープラズマを用いたX線集光技術開発のために金属サンプルにフェムト秒レーザーを照射し、そのフルエンスの違いによる反射率変化の計測を実施した。サンプル表面にプラズマが生成する閾値近傍の照射強度ではスパレーションという薄膜飛散が発生するが、その際に生成する薄膜がX線領域のビームスプリッタとして機能することをX線領域のニュートリング生成から確認した。また、X線自由電子レーザーSACLAにおいて、軟X線屈折計測のためのポンプ-プローブ実験を開始した。軟X線レーザーを、併設のチタンサファイアレーザー(ポンプ光)によって生成したプラズマに入射させ、プラズマ生成の有無によって生じる光路変化をビームライン後方の二次元検出器で取得することを試みた。プラズマ生成のための試料は、窒化シリコンまたは金属薄膜からのプラズマを用いた。照射実験を進める中で、チタンサファイアレーザーとプローブ光(軟X線レーザー)の試料上での照射位置調整などの課題が明らかとなった。本研究テーマは、2018年度SACLA基盤開発プログラムにおいて「SXFEL照射強度の精密調整機構を備えたポンプ-プローブ実験装置の構築」として採択され、引き続きSACLAにおいて推進していく予定である。計算機シミュレーションによるX線レンズの設計に関しては、炭素イオンに対する衝突輻射モデルを構築し、励起状態占有密度及び実効的な電離速度係数を評価した。衝突輻射モデルの結果を流体コードに組み込むことにより、X線の集光に寄与するプラズマの電子密度空間分布を導出した。更にX線レンズの性能を評価するために、対向する平板からレーザープラズマが吹き出す配置を2セット用い、縦方向と横方向の集光を独立に行うことを仮定した。与えられた電子密度分布に対して光線追跡によりX線の集光状態を計算し、X線レンズ生成に最適なレーザー照射条件を評価した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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