研究実績の概要 |
短パルス電源を用いた電子銃の開発として、昨年度までにサイリスタ素子を用いたパルス電源を開発した(特許申請 特願2018-126427)。このパルス電源は出力電圧 7kV, 出力電流1.2kAを達成した。 本年度は、電子銃で使用される数10kV級の電圧まで電圧を上げることを目標とした。サイリスタ素子は単体の耐圧が1.5kVであるため直列接続で直接数10kVのパルスを生成することは難しい。そのためパルストランスを用いて昇圧し、高電圧を得る。現在までにピーク電圧60kV, ピーク電流30A, 半値幅300nsが達成された。電子銃の加速電圧として十分な電圧を得ることが出来た。パルス幅も既存のマイクロ秒のパルス幅から一桁以上短縮することが出来た。さらにドリフトステップリカバリダイオードを波形整形として用いることでパルス幅を短くすることが可能である。 電子銃試験装置はカーボンナノチューブを用いた電界放出のカソードを用意し、直流電圧で電子ビームを生成することを確認した。この電子銃試験装置に本年度開発したパルス電源を接続することによって電子銃として稼働させる予定である。
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